2009年12月9日水曜日

年末のご挨拶

ちと早いですが,とうぶん更新もできそうにないので.

  Happy Holiday!

    &

  I wish you a happy new Year!

ではでは,また,来年.



2009年11月25日水曜日

ひるさがりの予定

今の作業の残り時間がわずかなのを教えてくれて,

次の作業まで時間が迫っているのを教えてくれて,

ナマケモノの背中を押してくれる.



Google CalendarでDay表示にすると現在の時刻をちっちゃな三角と赤い線で教えてくれます.

2009年11月24日火曜日

日高敏隆さん,レヴィ・ストロースさん


 
日高敏隆さんの訃報. 
動物行動学の日高敏隆さんが死去

少し前の話desuga.
レヴィ・ストロースさんも亡くなったと.

「悲しき熱帯」レビストロース氏死去 「構造主義の父」
「構造主義」のレヴィストロース氏死去、100歳
リーバイストラウス氏死去─ジーンズ構造主義の大家


特に後者の方について,僕の中では歴史上の登場人物だったので,つい先日まで現在進行形だったことにおどろく.歴史は現在につながっていたのね,と.atarimae.

Wave




Google Wave,欲しかったんです!

数年くらい前から,メールはあまり好きではなく,さらに最近はSkypeやGoogle Talkなどのチャット(ビデオチャット)が便利になって,メール以外の選択肢が持てるので,よりメールだと面倒だと感じる事が多くなってきた.

Google Waveも使えるかな.カチャカチャとキーボードを叩くと,相手のパソコンにリアルタイムで文字が現れる.とりあえず,今のところ,それがおもしろかった.

Googleさんからは招待状がなかなか届かずウズウズしていたところ,友達に招待してもらいました.

招待状を送ってくれた友達にこの場を借りて感謝.

2009年11月19日木曜日

公開して行うのは良いことだね.

事業仕分けの3-21 若手研究育成テキスト
最後のまとめで,レンホウさん,

1ー2割縮減が4名
1/3程度が縮減が3名
半額が3名
まあ1/3から半額縮減が6名となります。
言うんだったら,1-2割から1/3程度が7名,じゃないの!?3つで言ったら,1-2割縮減が一番多い人数...行政刷新会議の評価コメント(PDF)の資料で言うと,WGの評価結果では,
予算要求の縮減10名(a 半額3名、b1/3縮減 3名、その他4名
とりまとめコメントでは,
評決の結果は、予算要求の1/2から1/3縮減という方が6名おられた。...
091113-5資金若手研究育成 録音を聞いたら, やはり1-2割縮減が4人と言っていますね.資料は,間違っていそうです.生データ(解析されていない元のデータ)が残っていて良かったです.

PS.
正確に言えば,報告書は間違ったことは書いていない.「1-2割縮減が4人」が隠れているだけ.誤解を招く表現です.

PS.
実は1ー2割縮減が4名と言ったのが間違いで,資料の方では正確に修正したという可能性はあります.

2009年11月18日水曜日

必要とされない職業,事業仕分け



最近,ネットであまりに同情されないポスドクへコメントを見て(ポスドクの方が研究職を選択したがゆえの窮状を掲示板に書き込んで,それに対して「自己責任」という主旨のコメント多かった),これが小児科医だったり産婦人科医だったらもう少し同情されるんじゃないかと思ったり...自己責任と言っている方々は,現在ポスドクの人達が自己責任で研究職を「選択しなかった」としても,誰も困らないよ,と言っているのですよね.

改めて,必要とされない職業についている身なのだとわかって,なかなかがっかり.

とはいえ,研究社会と他の社会との距離感としては,こんなもんかなとも思っています.科学者は,政治的な(社会的な)活動について嫌悪感強いですし,教育についてだって自分の研究時間の対価として払われる負担としか考えていない方もよく見ます(研究したい研究者にとって,感覚的にはそうなってしまうのはしょうがないのですが,長期的に科学コミュニティーを持続させるため必要であることは一呼吸考えれば分かることなので,それを露骨に表現されると僕はイヤな気分.).

今日,かなり久しぶりにGoogleニュースを見てみたら,ニュースのカテゴリに「テクノロジー」があって,以前は,たしか「科学・技術」だったのに...たしかに「科学・技術」の時も,検索されるニュースはPCのパーツの話題だったり,ほとんど技術的なニュースだったので,実情にあわせたんだろうと思います.

でも,「科学」のカテゴリはなくなっちゃったので,地味にがっかり.

##

事業仕分け.科学関連は第3会場の11月13日

事業仕分け録音のテキスト化

こちらも,事業仕分けの対象(疑わしき事業)の時点で,すでに科学関連の予算がほとんど入っていたので,なかなかがっかり.

若手研究者の競争的資金が生活保護と同列に議論されているのにもがっかり...時間のない議論なので,表現が直接的でもよいのですが,国家百年の計を表現するには下品な言葉が多いのは残念.回答する方の言い回しは,回りくどくて,質問に対して,もっと簡潔に回答しろよと思う.

ただ,事業仕分けを公開にして行うという点は,とても民主的だとは思っているので,事業仕分けという方法論にはとても好感を持っています.

ところで,
すべての事業は当事者にとっては必要です.ただ現状では,限られた資源(今回は特に経済的資源)で行うために,優先順位をつけなければいけなかったわけです.どうやってその優先順位をつけるのだろうと,興味がありました.僕は全体が把握できないので,もちろん科学の優先順位がどこにあるかも分からなかったのです.異なる事業をどう比べるのか,例えば児童教育と科学の優先順位をどのように評価するのか,に興味がありました.

ふたを開けてみれば,
単にある事業について担当官僚(関係者)と仕分け人がディベートをしてその優劣が事業評価であるという方法だった.科学の重要性をディベートして,勝てば良かったわけなので,これはもうちょっとがんばってほしかったな.これまでだって,科学成果のプレスリリースに対して「何の役に立つのですか?」と素朴な質問は科学素人記者からたくさんあったはず.科学の経済的な波及効果だって適当に試算できたんじゃないかな.

某大学では,ある失敗をして,予算が削られることになって,ようやく危機感を抱いて,その危機感で新しい研究科を作っちゃった例もあるんですよね.多くの大学がその必要性は認めているものの,その研究科は(国公立では!?)その大学にしかありません.危機感を良い方向に向かわせることができればいいですよね.

事業仕分けに関していろいろと記事↓
事業仕分けWS3 まとめウィキ(←まとまっている!)
事業仕分けとProblem of Extension
Japanese science faces deep cuts

ちょっと皮肉.日本でもエコって言ってもダメだったのかな.
世界最速スパコン:景気刺激策で新研究を支援する米政府 | WIRED VISION

とはいえ,行政刷新会議の事業仕分けは法律的な拘束力はないはずなので,科学者の政治力を発揮しましょうか.若手の研究者が意思を表明できる場もあるようです.
科学研究費補助金の一部の執行停止に対する反対署名
行政刷新会議事業仕分け対象事業についてご意見をお寄せください

学会のHPでは,事業仕分けに対する意見の表明などは出ないのですかね.日本の大きな学会をみても出しているところがなさそう.腰が重いな.

教授さん方,がんばってください.政策を動かすのは若手の仕事じゃないよ.素敵な言葉で科学の重要性を説いてくださいな.

PS.
国に依存しすぎる科学もどうかなと思うので,同時に民間のお金で研究運営するロールモデルを模索してほしいです.

2009年11月12日木曜日

orz

メインで使っていたPCの電源ファンが変な音を立てている...

焦げ臭い...

アー...

実験データなど研究で使用するファイルは全て他のハードディスクに同期してあったのが,幸いか...

それでも別のPCでのセットアップ,ちょっとの手間がメンドクサイ.

とりあえず修理にも出した.

2009年11月11日水曜日

ぷはっ==...

 
先週は,非常にがっかりしたり,よろこんだり.
昨日は,良い結果が伴ったのでほっとしているところ.

ほっとしたとたんに,体の節々がだるいというか,筋肉痛というか,運動した後の様.いろいろと緊張感が続いてたのかしらん,と終わってから気付く.

よし,雑務,やりたくないこと,は片付けた.
さて,やらなければいけないこと やりたいこと,にとりかかろっと.

2009年11月5日木曜日

比べること.

 
物理学とは,現象を相対化する科学である.

まず,物理学とは何か?
ある現象が不思議という研究者の主観があってその
次に,その現象は特に不思議ではあるけれど,他にも
原理的に同じものがあることを実験的に示すこと.そ
して,最初に不思議と感じた現象は,それら一群の現
象中の一つにすぎないことを理論化すること,すなわ
ち現象の相対化である.
沢田 康次: (2009) 脳の現象論と物理学 , 日本神経回路学会誌, Vol. 16, No. 3, pp.126-127 . (PDF)

映画イル・ポスティーノで,郵便配達のマリオが「世界全体が何かの隠喩になっているのですか?」と詩人のパブロにたずねる場面が思い出された.

脳機能を数理的な表現で書きくだす事は,脳機能と数理的表現を相対化している,と言っても良いのかな.

巷で,脳科学者が,専門家でない方々に脳機能を擬人化して説明したとして,それは仕方のないことだよね,と思っている.たくさんの人に説明するなら,たくさんの人に共通する卑近な例で「相対化する」のは当然かな.正確な表現ではないからと言って,会話をやめてしまうのは,あまりに閉鎖的すぎるので,外部に向けて非正確な表現を恐れずに語れる人はコミュニティーに一定数必要でしょう.

僕は,ポスター発表で知らない人に説明する場合に,いつも僕から聞きに来てくれた相手にどんな研究しているのか,学生の方だったら学部や研究科を,逆に質問してしまう.相手が持っている言葉がある程度推測できないと何からしゃべって良いか分からなかったりします.もちろん,こちらにもしゃべりたい言葉があるので,後からこちらの言葉を理解してもらうようにもがんばります.

専門家のコミュニティー内では正確に表現することが,第1優先だと思っている.だから,無用に相手に合わせるだけが能ではないでしょうけどね.何かのアルゴリズムを説明しているときに,「直感的に説明して.」とか言われると少しカチンとくるので,ホワイトボードに数式を書いて,コレです,と言うことにしてる.一方で,僕も生理学や心理学の術語を無邪気に使ってしまう癖があるので,それに気をつけている.

そうそう,
相対化するものを持たない人は理解できないんですかね?
そうだとしたら,脳科学者は,脳だけを見ているわけにはいかないですね.そうだとしたら.

PS.
何か1つと相対化したからと言って,さらなる相対化をやめてしまったら理解は深まらなさそう.できるだけ一般的で正確な表現と相対化できるようにがんばらないとですね.

2009年11月2日月曜日

turtle neck,polo neck,もしくは徳利を着てみようと思うくらいの寒さ.

今日の京都は少し寒いです.全国的に寒いんですかね.

##

今日,考えた事.

仮説なしの研究を標榜して,例えば,脳の認知行動レベルでの情報処理について,できるだけ統制をせずに自然な状況を作り出して実験をしたとして,時間的にも空間的にも高解像度の脳活動データを取ったとして,環境(刺激)も高次元データで脳活動や行動も高次元データになるわけですが,何か分かるかと言えば,まず確実におぼろげにしか分からない.科学的に何か言えるかといえば,無いはず.考察はいっぱいできるだろうけど.

なぜなら,不定性(解が一意に決まらないこと)が大きくなるから.自分の分野で良く聞く言葉で言えば,正確な表現ではないと思うけど,実験条件がコンタミ(Contamination)して解析では原理的に切り分けられないから.

実験設計をするときに,
仮説とする脳の情報処理のモデルと,その他のいくつかの考えられるモデルと,の間に十分に差が出る課題を作り出さなかったら,検証できない.

ヒトの脳で,感覚入力からの情報を次元縮約している情報処理過程があるのは自明だと思うけど,それが判別分析しているのか,主成分分析しているのか,独立成分分析しているのか.を確かめるためにはどれか1つのモデルを選んで,計算理論のレベルで選択したモデルが他のモデルと差の出る状況を調べて,実験を作らないと検証できない.

上の3つの次元縮約のアルゴリズムは最適性が違うけど,とはいえ,視覚的に複数個の物体を認識したり,識別するという程度の課題設計だったら,どれでもうまくいく.差は現れないと思う.異なる最適性が差として現れる課題を計算論的に考えて,できるなら解析計算して,少なくとも数値計算はして,実験設計する必要がある.

仮説を立てて,仮説を忘れて,また仮説を立てる,
(実験する前に仮説を立てて,実験・解析するときには仮説を忘れて,解析後にまた仮説を立てる)というのが,実際の研究のプロセスですけど,忘れる仮説だからと言って最初をおざなりにすれば,ろくな実験はできないので,どのプロセスを強調することなく,全てを整然と行うのが研究かなと.

とはいえ,「ヒトが判別分析をしている」と仮説を立てて実験設計をして計測して,データが出てきた後に,やっぱり「ヒトが主成分分析している」と思い直したところで,検証するためには同じ実験設計やデータではダメで,別の実験設計をして計測しなおすのがオチだと思う.なので,やっぱり事前知識(先行研究)からすんごくよく考えた仮説を持っておくのが必要かな.やっぱり,最初に仮説を立てるプロセスを強調しておこうw.

計測しなおさなくても他の仮説が検証できる程度なら,仮説のもっている具体性はそれほどないかもね.

PS.
最近,fMRIデータなどでの脳領野結合解析で使われるDCM(Dynamic Causal Modeling)という解析方法を勉強して,かなり生成モデルを仮定していることを知ったのだけど,知りたい事(領野間ネットワーク)の下層にある生成モデルのパラメータ推定によって,知りたい事(領野間ネットワーク)のモデルはなんとでもなってしまいそうな胡散臭さはある.生成モデルを考えればいいかと「想え」ば,それだけだと妄想なんですよね.

知りたい事の下層にある現象の適度な抽象化,というのが今のところの1つの答えですが,階層性のある現象(脳)の理解のためには,いろいろと工夫が必要です.

2009年10月27日火曜日

科学をすることが許される理由と科学をする理由,

科学は誰のための物か?

科学をする当事者以外だと,その国で行われている科学は,第1にはその国に住む人達のためです.その人達が楽しんだり,その発展としての技術的恩恵を受けられないなら,科学者が科学を行っていい正当性なんてどこにもない,と思っている.

じゃ,科学を行っていい理由は何かっていうと,もう書いちゃっているけど,2つ.その研究が自然を理解する点での重要か,もしくは,技術的な発展を介した恩恵を人々に与えられるか,という2点だと思う.前者は,自然を理解できれば技術的発展も容易になるし,多くのヒトが大なり小なり持っている自然を理解したいという欲求に対する満足を与えてくれるということ.後者は,それによって生活が豊かになるということ.日本で,科学を行う正当性を主張したときに,たいていの人に理解してもらえる理由はこの2つだと思ってます.

そして,この2つはそのまま,科学者が研究を行う動機の種類だといってもいい.

余談ですけど,患者と接していない工学者がおこなう医療応用を目指した研究って軽薄なのが多い.研究者の動機づけは全然応用じゃないのに,応用を目指した風を装っている.大抵中途半端...BMI(Brain Machine Interface)研究の一部とか...研究者の動機に寄り添っていない仕事って軽薄に感じる.逆に,治したい患者が目の前にいる医者が行っている応用研究ってとても迫力があります.方法はたいてい愚直で,科学的な問題としても面白くない研究が多いけど,それは重要な研究だと思えるし,それをしている研究者は尊敬できる.科学者としての能力は問うところではないでしょうね.行動が意味をなす研究もあると思ってます.本当は技術者と呼ばれるべき人達.


動機の話に戻りますけど,

僕の場合は,研究をする動機づけは,技術的な応用はなく,自然を理解したいという点のみです.科学的な動機の中でも特に,得られる知識の重要性よりも,問題の性質として面白いかどうかが大事.ヒトの脳という限定された対象を研究していますが,そこに問題の性質としての一般性がなければ,たぶんあまり楽しめないような気がしている.なので,実は興味だけで考えるなら対象としては「ヒトの脳」でなくてもいい.ヒトの脳,特に視覚が研究対象ですが,これまでの知見が膨大にあって実験を統制する技術も知られているので,方法論の点を考えて研究対象を選択をしているだけ.
 
一方で,ヒトという興味の対象は譲れなくて,ヒトの脳のミクロなところにいって,細胞とか分子とか,僕がヒトを感じられなくなってしまう研究は続けられないんだと思う.なんでヒトに興味を持っているかは,自分でもよく分からない.

あー,でも,もっと深く考えると,知りたいってコトが純粋な動機じゃないかもしれない.議論好き,ってところに研究をする動機があるかもしれない.長くなったので,その話しは別の機会に.

300







今日は,2009年の300日目.











2009年10月26日月曜日

ToDoリスト

 
Googleカレンダーを使ってますが,US版の方がサービスの導入が早いから,US版に設定していたと思ったのだけど,いつの間にか日本語に設定を変えて使い続けてた.で,なんだかの都合で使用言語をUSにした時,「Tasks」と連携していることに気付いた. これが便利.

些細な事はすぐにやってしまうのがイイとか思っていると,些細な事で1日が終わったりするので,些細な事でも3日後まで必要のないことは3日後にやるようにしてます.些細な事をTasksに「些細な事○月×日」と書いていたのだけど,いまいち直感的じゃなくて,気持ち悪い...ワンクリックすれば,期限も設定できるのだけど,何だか面倒で...

Googleカレンダーからだと,予定を入れるのと同じように,期限があるTaskを入力できて,ラクでした.カレンダーにTaskも表示されるので,忘れない.終わったらチェックマークを付けられるのも,気分がイイ.インターフェースのホントにちょっとの差なのですけどね.イイ.

cf.Googleカレンダーにタスク管理機能

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あと,一連の作業をしようと思う時には,ある程度細かく作業手順をリスト化してますが,それにTasksを使ってます.

で,その効用は,
  1. これからやることが明確になる.
  2. 必要の無い作業に気づくこともある.
  3. 作業を途中で中断する時も,行ったトコまでチェックしとけば,再開がスムーズ.
  4. 短時間で完了するサブゴールがあるので,作業を始める気になる.
  5. Todoリストを作ること自体が作業をはじめるきっかけになる.
僕にとっては,特に4,5が大きい.切換えが遅いんで...できるだけ作業に入るところでの閾値を小さくするように努力.ToDoリストを作ことがウォーミングアップになってます.

2009年10月25日日曜日

日常的な理解の仕方

今年に入ってから,fMRI研究でクラス分類を用いたデコーディングが,かなり増えています.みんなでSVM(Support Vector Machine)という感じ.ただ見ていると,やはりクラス分類だけだと脳の情報表現には迫れないのだろうという印象.

ところで,以前に,昨年くらいかな,再構成によるデコーディングなら,これまでの解析方法よりも優れた方法になるんじゃなかろうかというニュアンスで書いたことがあった気がします.ただ,今はさすがに興奮も少し冷めて,以前に書いたほどには思っていないのですが.で,いろいろと再構成について考え直してみて,それでも再構成がイイと思う点の1つ.

脳活動の情報に何が表現されているか,僕たちがその全体像を理解しやすい.ということ.

例えば,定量的な評価指標である相関係数が0.6と言われても,実はそれだけでは何が表現されているかは理解できない.何との相関をとったのか確認しなければわからないし,情報の一部が表現されているだけですよね.適当な1次元の数値で表現されると2つ以上の解析結果を比較する際には分かりやすいですが,情報の全体を認識するのには適切ではないような気がします.

それに比較すると,例えば脳活動が視覚情報を表現しているならば,脳活動を画像に再構成してくれたら,あぁこういう情報ね,と直感的に情報自体の「全体が」理解できる(ような気がします).視覚的情報は画像や映像にして視覚的に理解する,聴覚情報なら音にして聴覚的に理解する,のはヒトにとって日常的な理解の様式なので,情報の(漠然と)全体を理解するには良い方法なのではないかなぁ.

ということで,再構成が有効なのは,1次元の指標では理解しにくい場合で,画像とかある程度の高次元情報を扱うときかなぁとは思っている.

自然を理解するために,棒グラフなり,折れ線グラフなり,相関図なり,いろいろな理解の様式があるわけですけど,fMRI研究において脳の情報を画像や音に再構成ししてみるのは,その1つですかね.

2009年10月24日土曜日

コラボ

  


理論をたてる人がいて,実験を考える人がいて,実験をする人がいて,解析する人がいて,...とたくさんの共同研究者がいて,それぞれ作業分担をして,NatureやScienceに論文が出たとして,この研究をちゃんと理解しているのは誰なんでしょう?

##

理論をたてた人は,どうやって検証したか分からなかったりして.

実験をした人は,何の理論を検証したのか分からなかったりして.

解析した人は,何を解析したのか分からなかったりして.

実験を考えた人は,...全体を把握したことになるのかな.

実験を考える人は,理論(仮説)を理解して,理論を具体的な実験(作業仮説とか)に落とし込む必要があるし,計測方法を知らなければ実験は立てられないから,どの様なデータが出てくるかも理解している.解析は実験設計と表裏一体だから,もちろん解析は理解している(基本的に,解析方法が決まらなければ実験設計できないし,逆もそうですよね).

それとも,良い読者が一番その研究を分かった事になるのかな.

##

話は戻りますけど,

もし,研究をした当事者は誰も全体を分かっていないのに,論文だけが出ているとして,それこそ科学ってすごいなと思う.だ〜れも科学のエッジ(先端)に辿り着いていないのに,誰もがそこからの景色を見られちゃうという.

でも,やっている自分が理解してない研究なんて,イヤだけどね.だって,正直なところ,科学に貢献したくて研究をしているのではなくて,自分が知りたくて研究してるんだから.科学への貢献は,飯の食い上げにならない程度にがんばります(←今はまだ,これに必死w あー,笑い事じゃない..).

上記,ヨーロッパでは,「分からないことがあれば,分かる人とコラボレーション(共同研究)して,作業分担して研究を完成させる.」という話しを聞いて思ったこと.

2009年10月10日土曜日

文書を書く道具

Scrivener

文書を書くソフトウェアは遍歴を重ねていますが,これはある程度の長さの文章を書くのに便利でした.Macのソフトウェアです.


30日間のトライアル版で使っていましたが,よく使うようになったので,最近1つ書き終えたのを機に購入.トライアル期間で3本くらいのまとまった文書を書きました.4月頃に初めて使ったのですが,お試しの「30日間」が起動している日数なので,最近まで使えたんですよね.実質的には半年使えた.

僕が便利だったのは,

階層性の表示
ある単位でテキストを作って,それを階層にできるので,構成を俯瞰するのに便利でした.上の画像の左側が階層表示になってます.さらに,Synopsis(概要),Keywordsを文書とは別途に記載できたり.

参考資料の取り込み
PDF(その他,画像なども)を取り込めるので,参考にする資料を取り込んでおけるのが,便利でした.Scrivenerのファイルを1つ開けば,エディタも参考資料も両方開けますからね.いちいち参考資料を別途探さなくてもイイのが,ひと手間楽で,心理的にはふた手間以上に楽.取り込んだ参考資料はScrivener上でも見られますし,他のPDF ビューワーから開いても見られます.
文字数,単語数の指定
右下に3重丸の記号があって,それをクリックすると,文字数を設定できる.設定すると,バーグラフも出てきて,直感的に残りどれくらいかが分かった.もちろん現在の文字数,単語数が数字としても出てきます.

僕はあまり使わなかったけど,コルクボード表示にすると,テキスト毎にIndex Cardとして表示できるので,見ためが楽しい.Label(例えば,章,節とか)やStatus(draftだとか,editionだとか)をテキスト毎に設定できるので,それも便利そうです.

その他の便利な機能は,全画面モード,2分割表示(水平,垂直),スナップショット,アウトラインモード,Scratch padなどなど.

多少の面倒はあるけれど,LaTeXのエディタと併用すれば数式が出てきても何とかなるかなぁ.

という感じでした.

2009年10月8日木曜日

計算理論の水準

 
てんぱっている.だども気分転換をしたかったので,投稿.

下記,とあるところに提出した文書の一部.前回デビッド・マーの3つの水準について書いたのですけど,その1つ目の水準である「計算理論」についての僕の理解です.書けば(たぶん)当たり前ですけど,現状に対する認識はいちいち確認しておいたら,その後のコミュニケーションのたたき台にいいのかなと思って書きました.

「現状では,異なる実験課題によって解明されたとされる各領域の機能について,再度,複数の領域を対象に同一の実験課題でやり直し,一貫した説明を行うという研究が成立してしまう.これは,極端に言えば実験課題が異なれば,議論ができないという状況である.この問題は,脳の認知行動の研究において,単に条件間の脳活動にある差をもって機能を定義する場合が圧倒的に多いからである.機能定義を作業仮説に任せてしまっているので,他の研究とつなげることが難しくなっている.作業仮説だけではない機能定義の表現を探す必要がある.

(途中略)
 
 2つ目に,定式化は表現・アルゴリズムの水準だけでなく,計算理論の水準についての定式化も必要である.計算論的神経科学を標榜した研究の多くは,表現・アルゴリズムの水準に関して,つまりヒトの行動や脳活動について定式化することを主目的としているように感じる.しかし,本来は加えて,行う実験の計算理論,つまり脳を取り巻く環境の最適性などを考えて定式化することが計算論的神経科学の仕事だと理解している.脳を理解するためには,脳という対象から目を離し,その周辺である環境に目を向けて考えることが重要である.計算理論を正確に表現することで,その研究の一般性と特殊性が明確になり,他の研究との関連性を議論しやすくなる.」
もちろん,いくら定式化したところで実際の実験刺激などを生成する段階では飛躍が生じるし...でも,がんばりたいところです.
 
 

2009年10月1日木曜日

理解するための3つの水準

 
デビッド・マーの書いたビジョンの邦訳本,

表紙(折り返したところ)には,
「David Marrの理論的格率の妥当性がかつて疑われていたことを神経科学者が理解できなくなったとき、彼のライフワークの真価がはじめて認められるであろう。-Science」
と書かれている.

なんというか,いまだに,
疑う対象にすらしてもらえてないのではないか,
とふと思うときがある.

脳神経科学者で読んでいない人がいたら,
序論と第1章は必ず読んでほしいと思う.
時間があればついでに第7章も.
 
何を理解したら脳を理解したことになるのか,
を考えることも僕のテーマの1つです.
自分が生きている間にできる研究だけを考えれば,
そんなことお構いなしに
やることはたくさんあるけどさ..ねぇ.


10月です.
 

2009年9月12日土曜日

他人の評価

 
Frog in Orchid

日本だとフットボール(日本で言うところのサッカー)では,オールスター戦はサポーターがイイ選手を選び,その年のイイ選手(MVP,新人王,ベストイレブン)は監督や選手が選ぶ.ヨーロッパのフットボールだと,シーズン終わりの5月,6月の頃になると,各国のフットボール協会やフットボール記者が一番イイ選手を選ぶ.

フットボールの選手は,その業界の当事者(監督,選手など),プロフェッショナルな批評家(ジャーナリストなど),アマチュアな批評家(サポーターなど)に評価されるわけです.

ところで研究業界だと,研究の評価で耳に聞こえてくるのは当事者達の評価がほとんどですよね.Peer to peer,P2P.

日本でも京都賞など大きな賞がありますけど,評価しているのは研究者か元研究者の方々ですよね.ジャーナリストが選ぶ賞とかってあるのかな?Scientific American(日本だと日系サイエンス)が年間ベスト50の研究(者)などを発表しています.これはジャーナリストが選んでるのかな.

当事者とジャーナリストでは,評価軸のベクトルが少し違いそう.

ちなみに,僕は基本的には訓練を受けている専門家というのを尊重する質(たち)なので,科学に批評家がいるのなら,当事者からの評価よりも批評家の評価というのを気にするような気がする.

PS.
アジアフットボール連盟(AFC; Asian Football Confederation)だと投票ではなく,国際試合で毎試合選ばれるMVP選手に決まったポイントが与えられて,年間を通してそのポイントが多い人が選出されます(5,6年前までは,投票権をもっている記者投票だったけど,たしか).

この類だと,研究業界にも,論文数だのインパクトファクターだのいろいろと評価指標があります.分野によってこの特徴空間が違うので,分野横断的なところで研究している人は人一倍大変だろうな.
 

2009年9月10日木曜日

科学報道

Nature Digestに科学ジャーナリズムについて記事がいくつかまとめられて載っていました(過去のNature記事をまとめている雑誌なので).このページは日本語での翻訳もされているので,日本語で読んでみた.

・科学ジャーナリストはチアリーダーか監視役か(PDF)
 Cheerleader or watchdog?

科学ジャーナリズムの「聖職者モデル」を超えて(PDF)
 Science journalism: Toppling the priesthood

科学ジャーナリズムの歴史的変遷 (PDF)
 Science journalism: Too close for comfort

盛り上がるアラブ世界の科学ジャーナリズム (PDF)
 Science journalism: The Arab boom


特に2つ目の記事がおもしろかったです.
ここで聖職者というのは,科学者の言葉をに科学者以外の多くの人に伝えるための翻訳者という意味.ジャーナリストは多様な分野を追跡しなくてはいけないから,その研究の位置づけの把握や批評などまでは手が回らなくて,最低限の仕事,つまりプレスリリースの複製ですませてしまう状況になっているというのを表現しています.

その解決策の一つとして,科学的な知見が世に出る過程を見せたらいいと言ってます.(ちなみに,僕は「世に出る」と書きましたが,日本語本文では「作り上げられる」,元の英文でも「Crafting knowledge」とか「... of how scientific knowledge is crafted」と表現されています.僕は気にとめない表現だけど,気にする人いますよね,きっと.このへんコワイので表現を変えてみた.)
「この問題に取り組む1 つの方法として考えられることは、論文の最終稿とともに、匿名査読者のコメントをジャーナリストに閲覧させることである。」
これは確かに良いなと思った.ジャーナリストだけでなくて,その分野の初学者にも有益かなと思った.これまでも論文のIntroとDiscussionを読むことでその研究の課題や位置づけは一応分かるのだけれど,査読者のコメントを載せれば,さらに付加的な情報となりそうです.逆に混乱するかな.

ともあれ,ジャーナリストなら科学者のコミュニティーとは独立に批評できる規準が持てるようじゃないとダメですよね.Nature essayでジャーナリストが査読コメントを公開しろと要求した!?のはおもしろいなと思いました.Biology Directなど一部ではすでに査読者のコメントも載せているとか.


3つ目にある記事もおもしろかったです.科学記事のもつ影響が変容するとともに科学ジャーナリストに要求される事も変わってきている様子が書かれています.

それとジャーナリズムの話しではないけれど,会議に参加して聞いた内容をWebにアップしてしまう行為についての記事もありました.これは無料公開記事になっているようです(アカウントの登録は必要かも).
ブログは学会・国際会議の敵か?(PDF)
 

2009年9月4日金曜日

90億の科学,あるいは2700億の科学.

 
「中心研究者及び研究課題」の選定結果(PDF)

大きな予算のプロジェクトの選定結果が出てました.ふーん.これは,予定通り予算配分されるのでしょうかね.選ばれた研究に対するコメントはないですが,落選した研究プロジェクトの中に残って欲しかったのがあったので残念.


ついでに!?,こんなのも公表されていましたね.

先端的研究を推進して実現してほしいこと(PDF)
参考:科学者、研究者のイメージまとめ(PDF)

実現して欲しいことでは,宇宙起源の解明以外は科学ではなく技術的な期待ですね.なんだかTVから出てきたような結果です..

 ##

ひところ,技術というか工学研究は目的を果たせば,それがなぜ実現しているかという科学的な根拠が分からなくても成功だと思ってる節がありました,わたくし,恥ずかしながら正直なところ,ほんの少しですが.

最近,技術的な研究も科学的な考察をうんとする必要があるんだなと痛感する議論を目の当たりにしたこともあり,そんな考えは消し飛びました.多くの人に技術を伝えようとすればきちんと科学的考察や検証をする必要ありますよね.

ということで,「科学が基礎研究で,技術(工学)が応用研究だ」なんて単純な図式はこれっぽっちも思っていないのですが,とはいえ,それぞれ研究に性格があることは実感しています.その説明としてなかなか好きなのが,科学の四象限について@赤の女王とお茶をです.抽象度←→具象度,知のための科学←→人のための科学の2つ軸,4つの象限で説明しています.

1.抽象度が高く、知のための科学

たとえば素粒子科学は今のところここに当てはまるのではないでしょうか。

2.具象度が高く、知のための科学

クラゲGFPの発見はここに入るでしょう。ただし、現在では強力な応用ツールとしての方法が見出されていますから、3番に入っているかもしれません。しかし当時としてはそこまでの予見はできなかったでしょう。

3.具象度が高く、人のための科学

まず入るのが医学や工学でしょうね。たとえ宇宙的一般性がなくとも、難病の治療法を見つけることには大きな価値があります。ノーベルのダイナマイトの発明などもここでしょう。

4.抽象度が高く、人のための科学

経済学や社会学かな。言語科学や情報科学も入るかもしれません。人や社会に関して抽象的な一般性を見つけようとする科学です。

ということで,「先端的研究を推進して実現してほしいこと」を読んで,第3象限の科学に対する期待ばかりなのが残念でした.

PS.
説明すると長くなりますね.
自分は第2象限の住人で,第4象限に遊びに行く人かな.

2009年8月25日火曜日

脳科学の商売

 
Freeill
移動式のCTやMRIの貸出しを行っている会社.トレーラーの中にMRIが入っている.1.5TのMRIもありますね.料金を取って貸出ししている研究機関のMRIと比較すると,貸出し料金も高くない様子.これで研究ができれば助かるな〜.

脳科学で商品戦略・開発? 博報堂が専門組織
NTTデータ経営研究所,ATR−プロモーションズ,脳機能研究所.へー.

個人的には,脳科学に商品戦略や開発の根拠を求めなくてもいいんじゃないか!?とは思ってます.とはいえ,やっている人がいる中で,傍観者である僕が「うまくいかないよ」とただ冷ややかに予想することは意味のないことです.うまくいくようにがんばって欲しいです.

あと,売れる物を作るより,売りたい物を作った方が,みんながHappyになれるような気もしています.作り手が,売りたい物を作るときの説得材料に科学を利用するという流れならイイのですが.もしくは,自分が売りたい物を良くするために使うとかね.「売れる」という科学的根拠がどんなにあっても,それだけで商品開発するんじゃ,作り手にも,売り手にも,買い手にも,とっても不毛な気がします.
 

2009年8月17日月曜日

英語のツール

 
Springerが査読された論文の文章から作成した辞書を公開したと.
Springer 英語の論文執筆を支援する無料ツールを公開しました
日本語での解説はこちら→exemplarの利用例 (pdf)

生命科学だけならば,こちらが使いイイと思いますが.
LIFE SCIENCE DICTIONARY PROJECT
オンライン辞書だけでなく,辞書ダウンロードができるので,便利です.
僕は,Jamming(MacではLogophile for Mac)と一緒に使ってます.

ちなみに,Alcのオンライン辞書は,玉石混交なので注意が必要ですね.僕自身は英語は得意でないので,僕が言っても当てにならない意見ですが,英文校閲をやっていた方もそう言っていたので,当たっているかも!?
 

1年前の事を.

以前,バケツバケツバケツで,
  • サーチライト型研究:研究者の持つ仮説を検証するために理想化された実験課題(サルやヒトに行わせる認知もしくは行動課題)を作成し,データをとり,解析する.特定の仮説にサーチライトを当てた研究.
  • バケツ型研究:研究者は仮説をもたずに,実験課題もできるだけ自然な状態をつくり,データをとり,解析する.仮説はデータから発見(もしくは発明)される.とりあえずデータをバケツに入れるような研究.
と書いていました.その時は研究会で使われた言葉を受けて,サーチライト,バケツという言葉を使って説明を書いてましたが,生成モデル,判別モデルという言葉を使って説明した方が分かりイイということがずっと気になっていたので,ようやく今日になって書いてみた.もう1年も前のことですが.うっ,一年も前.

とはいえ,改めて説明を書くテンションが無いので,その事に触れるだけ.
 

2009年8月16日日曜日

おぼん

 
楽器をさわることに縁がない僕にも知った名前でした.
レス・ポールさんが亡くなったと.
“The only reason I invented these things was because I didn’t have them and neither did anyone else. I had no choice, really.”
Les Paul, Guitar Innovator, Dies at 94

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今日,京都では五山の送り火が行われました(はず).
ちゃんと見ようと思ってたのに,すっぽかすことになってしまった.
 

2009年8月13日木曜日

2009年の選挙

基本的にいつも選挙は僕の関心事の一つですが,今回は特に.

それぞれの政権公約がWeb上でも見ることができますね.
民主党のマニフェスト(pdf)
自民党のマニフェスト(pdf)

ところで,科学の世界で仕事をしているので,科学政策についても興味があります.科学政策について, NPO法人サイエンス・コミュニケーションsivadさんらは公開質問状を各政党に送っていて,その回答が民主党から届いたようです.
公開質問状に対する民主党からの回答@科学政策ニュースクリップ

回答に対する意見や感想を表明するのはやめておきますが,公開質問状という試みがおもしろいと思って紹介しました.情報の発信はマスメディアのものではないということですね.質問状への回答内容はもちろんのこと,回答の有無自体にも政党の態度が表れるように思います.さてさて,今後,どの政党が回答を示してくれるのかな(他にも回答してくれるところがあるようですよ).

メディア政策については,以下のような記事もありました.
民主党政権が実現すると、何がどう変わるか? 神保哲生
何にしてもまず、民主党政権では大手マスメディア自身が、主たる既得権益者として改革の対象となっているという重大な事実が、広く認識されることが必要だ。
 

2009年8月6日木曜日

Grit

 
オランダのリーグで活躍する日本人選手.本田圭佑(10番).
 


頭抜けてます.スゲーな.

ちなみに,
本田の所属するVVVは2部リーグからあがったばかりのチーム,
この試合で対するPSVは1部リーグの優勝候補のチームです.
それでこの活躍.あらためてスゴイ.

この選手と中村憲剛が,今,好きな選手.
どちらの選手も,ただガムシャラなだけでなく,知性も感じさせる.
それでいて,なによりも試合に勝つことの意志を感じる選手達です.
本田圭佑は,特にそれが強い.
相手からしたらふてぶてしくて憎たらしい生意気な若造.

サッカーがやりたくなってきた(1年以上,外でボールにさわっていないや..).

『本田はオランダリーグでもやれるやん』という問題ではないレベルに、おれは突入していかなければと自覚している。極端に言えば、去年の2部リーグでのおれの存在みたいに、誰も止められないというところまでこの1年で突入していきたい。
VVV本田「誰も止められないところまで1年で突入したい」(Sportsnavi.com)

 

An Infomation Criterion

訃報:赤池弘次さん 81歳=統計数理研究所名誉教授・元所長、統計科学専攻(毎日jp)

An Infomation Criterionで知られる赤池さんが一昨日に亡くなったと.

AICは1971年に考えられ,1974年に発表.

赤池さん自身は,AはAnの略だと,一貫して言っていました.

2006年の京都賞を受賞した時に講演を聴きに行ったときも,

その事を強調して言っていたような気がします.

とは言え,AICは赤池さんの手を離れるとAkaike's Infomation Criterionと呼ばれますね.

様々な分野にAICが出てきます.

脳科学でもAICという言葉こそ出てこないものの,

それと同じ考えで研究されている論文を良く目にするようになりました.

僕もAICに惑わされている1人.
 

2009年7月31日金曜日

計算論かもしれない与太話

与太話.

ふとつけたTVで,子供の学力が低下していて,それはゆとり教育が悪いとかどうのという話題の議論.それを見て「日本の社会(環境)が学力を必要としていないのでは」とつぶやく人あり.僕はそれを聞いてなるほどね,と.

ヒトが環境に適応して生きているとすれば,学力低下も環境適応の結果であって,勉強のさせ方や仕方が悪いと言うよりも,日本というのは学力が求められていない環境なのでは,と.

そんな話をしていたら,案の定,子供に行った国際的な学力テストを今の大人にやらせたら,他の国に比べて悪かったという結果が出てきた.一時は隆盛を誇った我が国ですから,その大人達が子供当時はトップクラスだったのに.大人になるにつれて学力が低下したってことですね.

学力が何かというのは僕にはわからないのですけど,少なくとも行われている学力テストで試される力は,日本の環境では必要とされていない,ということではと思ったり.逆に言えば,学力を必要とする環境があれば,必然と銘々が工夫して学力をのばすようにがんばるのではないですかね.学力で評価されるような環境を整備する必要があるのではないかな.計算理論のレベルでの解決とでもいいましょうか.

TV番組では,その後も子供への勉強のさせ方を議論が続いて,「アルゴリズムと表現」のレベルでの話でした.環境がなかったらはじまらないと思うのですが,どうでしょう.

僕なんかは,企業の人に言わせれば社会を知らない人間って事になるのかもしれませんが,そんな社会は知らなくて良かった〜.

いや,ウソです.皮肉を言っても建設的ではないですからね.

TVでは,学力=国力だから学力は伸ばさなければいけないという議論でした.僕には学力=国力かは知りませんし,国力が上がることが良いことであるかも知りませんが,こういう世界で仕事をしているので,学力に価値を置いてくれる環境の方がありがたいことは確か.

日本の学力低下について計算論的かもしれない与太話でした.
 

2009年7月21日火曜日

21にち

衆院解散しましたね.

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京都は昨日の夜から,断続的に激しい雨が降っています.明日の日食は見られるのかな?
京都では,
 食の始まり:9時47分
 食の最大:11時5分
 食の終わり:12時25分
最大で8割ほどが隠れるとか.

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最近,久々に携帯電話のお店にいったら,7万円もするのがあった.そうでなくとも2,3万円はざらにする.拡張性がないし,パソコンとの連携もとれないに等しいし,携帯電話はガラパゴス.

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Keynoteで上付き文字,下付き文字を入力する仕方.
 上付き: Control + Command + "+"
 下付き: Control + Command + "-"
今日,知った.できないものかと思っていた.いつもは,自分が思いついた程度の事は大抵実装されているはずと思って調べるのですが,この件は今までずっと放置でした.
 
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40年前のこの日は,ニール・アルデン・アームストロングとエドウィン・オルドリンが月に降り立った日.
 

Decoding update

理論,解読,観測,ヒト

デコーディングモデルの比較のために.

こないだのを更新.
矢印が関数を示していて,四角で囲われているところが入力もしくは出力,つまり情報表現を示している.ふつう,制御とかで使われるブロックダイアグラムとは異なるので,誤解がないように一応説明.さて,どことどこを比較するかな.

※最初の投稿では,notationがむちゃくちゃだったので,修正.
  

2009年7月17日金曜日

Circular analysis, Tautological analysis, 循環論的解析

 
Kriegeskorte et al. Circular analysis in systems neuroscience: the dangers of double dipping . Nature Neuroscience (2009) vol. 12 (5) pp. 535-40

とある論文抄読会で教えてもらった論文.独立ではない解析をして結論を出している研究があるという話.Nature, Science, Nature Neuroscience, Neuron, The Journal of Neuroscienceの2008年にでたfMRI研究134報を対象に調べたようです.そのうち57本が独立ではない解析をしているのではという指摘でした.独立でない解析というのは,例えば,Localizerで用いたデータで,さらに仮説を検証するような解析をしてしまった場合ですね.今回指摘しているのは,以前に話題になったVulらの統計的処理に対する指摘ではなくて,論理的な解析手続きに対する指摘.なので,fMRI研究にかかわらずデータを扱う全ての研究で起こりえる話についてです.

ざっと見た感じでは,ここで指摘されていることは当たり前のように思えますが,どうなんでしょう,実際に査読していると気づかないこともあるのでしょうか.対象となった論文がわからないので明らかなことは言えないですが,これだけの数の誤りがあると,誰しもが落とし穴にはまる何かがあるのでしょうか.それとも,やはり論理的に単純な誤りなのでしょうか.自分が本当に理解していて,かつ実践できているかが不安になってきた.

ちなみにpubmedで下記で検索すると195報(Review含めて)の論文が出てきます.humans[sb]を含めないと226報.

(Nature[journal] OR Science[journal] OR "Nature Neuroscience"[journal] OR Neuron[journal] OR "The Journal of neuroscience : the official journal of the Society for Neuroscience"[Journal]) AND fmri[ALL] AND humans[sb] AND 2008[DP]
 

2009年7月16日木曜日

2足のわらじ

  
以前に紹介した【論文】ヒト海馬におけるニューロン集団の解読の第1著者のDemis Hassabisさんは有名人らしいですね,ゲーム業界で.ゲームプログラマーで,ゲーマーらしい,しかも天才の冠がついてます.ケンブリッジを19才で首席卒業.へー.
イギリスで開発中のPCゲームで今一番気になるソフトといえば,アイドス・インタラクティブから発売される予定の「Republic:The Revolution」という,政治をテーマにした異色のリアルタイム戦略ゲームだ。制作を手掛けているのは,Bullfrog Production社時代に16歳にして"テーマパーク"の副クリエイターに抜擢されたデミス・ハサビス(Demis Hassabis)氏が率いるElixir Studios社。ハサビス氏は,テーマパークのリリース直後には,飛び級で名門のケンブリッジ大学に入ったという天才児としても,業界ではお馴染みの人物である。
forGamer.net
僕は,ゲームをほとんどしないんで(スーパーファミコンが最後),全く知らなかったのですけど,ゲームをやる人は結構知っているのかなぁ.VR(Virtual Reality)の設定を説明している箇所が,脳科学の論文で刺激を説明しているにしては細かい話しがあったので,ちょっと気になってた.

あくまでWebでちょろっと調べただけですが,..
所属先からは名前が見つからないんだよな〜)

http://en.wikipedia.org/wiki/Demis_Hassabis

http://www.4gamer.net/news/history/2004.03/20040326173255detail.html
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030131/eidos03.htm
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030517/e3_evl.htm

 

会話の方法,ヒト関係

To be or not to be

年下からも呼び捨てにされ,ののしられ,たまには褒められる.

大学での部活,サッカーの試合中に起きていたこと.試合中はめまぐるしく状況が変わるから,先輩だろうが後輩だろうが呼び捨てとか短いあだ名で呼ばないと,間に合わない.みんな試合に勝ちたいので,呼称なんてのは些細なことでした.端的にお互いの要求を主張して,どうするか決定する.コミュニケーションがとっても端的でした.

お互いに実力は見ればだいたい分かるから,イイ格好しいの必要もないので,取り繕ったことを言う奴もあまりいなかった.わがままな奴はわがままに振る舞って,当人も周りもその認識を共有していて,なので,周りがあけすけにそいつのわがままを指摘しても気まずい感じにならない.こっちが言いづらくて,いちいち鬱々としたものを抱える必要もなく楽.当人は悪いとは思いながら開き直っている面もあるのですけどね.

運動だと実力=発言力だったりしますが,今の実力が逆転する可能性があることもみんな知っているし,見下して話を聞かないなんてこともあまりなかった.自分が言いたいことを言って,相手も言い返してくれるというコミュニケーションの方法は想像以上に楽でした.こちらは凹んでも元に戻れる自信があるし,相手を凹ませても元に戻ってくれる安心感がありました.それが当たり前だと共有できていれば,意外と風通しの良いものです.

ということで,言わないことでの弊害よりも言うことでの弊害の方が小さいというのが,僕の経験則.

とはいえ,1回言いだせないことで悪循環にはまることも.相手のことをよく知らないと,そんなコミュニケーションを強要していいか相当に迷うことも.
 

2009年7月15日水曜日

Decoding

Decodingと行動予測.

デコーディングモデルの比較
(modelの番号と関数の添え字があっていない.間違えた.)

以前,神経科学における検証に再構成を使う.で文書にして表現したことを,図で表現.Decodingしてみました.今回は酔わずに描いた.

 ##

ところで,Decodingの評価指標として,どれだけ入力を再現できたか(クラス分類の場合だと識別率)が用いられていますが,これが気持ち悪い.脳から取り出した情報は脳内で情報処理された結果すでに入力とは異なる情報表現だから,脳への入力が再現できなくても良いはず.何を評価指標とするか,言葉を換えれば,Decoderを何に最適化するかという問題でもあります.

ただ,「ヒトの脳内では,すべての情報について,識別するために最適化された情報表現をもつ」というならば,クラス分類でDecodingするのは妥当かもしれません.

まずまちがいなく,そうじゃないでしょう.
 

2009年7月8日水曜日

高眼

 
私が大学の教養課程のときに数学の先生がこういうことを言いました。「高眼手低(こうがんしゅてい)」。目は高いところにいつもおいて、具体的な仕事をするときには手は低くおく。私のこの言葉の使い方は本来の意味とは違います。本来は、他人の仕事を批評するときには目は高いが自らの業は低い、ろくな作品を書かないことを皮肉った中国の言葉です。「しかし」と言って私の先生は、「仕事をするときは高い目標を掲げて、着実にできることからやっていきなさい」と言いました。その意味でも「高眼」ということに重点があって、下のことをやっていても自分の目標はここにあるのだ、それに向かって努力していくのだということが大事です。(中略)そういう意味でみなさんも目標は高くもち、それを絶対に下ろしちゃいけない。苦しくても、自分の目標はここにあるのだということを置いて、着実に仕事をしていく。これを私は非常に重要なことだと思っています。
『科学にときめく ノーベル賞科学者の頭の中』
(益川敏英/かもがわ出版)

  • 低眼手低.自分の研究にしか興味がなく,その研究以上に話しが発展しない.
 低眼.研究をやっていると,小さな世界だとしても,その作業や議論はなかなか楽しくて,慣れてしまうとそれも良いかなと思ったりします.一方で,何の気まぐれか,たまに俯瞰してみると,自分のやっていることが小さすぎて嫌になる.なので!?自分の研究がどう発展するのか(というより,どういう発展を目指して今の研究をするのか)を考えています.
 手低.僕がやっている研究は,電気生理学の方から見れば手高で,理論の人から見れば手低と見られるような気がする.おそらく.


  • 高眼無手.検証方法もないのに,大きなを研究を志す.
こういうのもありますね.研究を1年もやれば,実証したい事と研究上の制約にあるへだたりは身にしみてわかりますが,下ろすのは手だけにしなさいというのが益川さんの主張でしょうか.僕の高眼は,脳で行われている情報処理が全てわかったあとの風景を見てみたいということ.それを下ろさないように.とりあえず.一方で,無手では科学にならないので,何かを手がかりと決めて行動することも科学に必要なことなのでしょうね.あたりまえか.

それにしても,脳科学は膨大な知識の蓄積があると思いますが,それらがつながる気配はほとんどないですね(←他人事な感じに聞こえるのは嫌ですが.自分事として).

ちなみに,僕には本来の意味が適用されますが,とりあえず気にしない体(てい)でいく.

PS.
上記の本は引用した部分しか読んでいない.
 

2009年7月5日日曜日

【論文】覚醒ザルの第一次視覚野における知覚抑制中のfMRI(BOLD信号)と神経活動の相違

 
Divergence of fMRI and neural signals in V1 during perceptual suppression in the awake monkey. Alexander Maier, Melanie Wilke, Christopher Aura, Charles Zhu, Frank Q Ye, David A Leopold. Nature Neuroscience (2008) vol. 11 (10) pp. 1193-200

とある論文抄読会で紹介してもらって,重要だと思ったので自分でも読んでみた.昨年の論文.

 ##

ヒトを被験者としたfMRI計測では知覚抑制に応じてBOLD信号の低下が見られるという研究と,サルの活動電位を計測では知覚抑制による低下が見られないという研究があり,矛盾がありました.そこで,この研究では知覚抑制が起きる実験課題で,2頭のサルで,fMRI,単一細胞活動計測,Local Field Potential(LFP)の3つの計測をおこなって,その矛盾の原因に迫っています.

結果からいうと,fMRI,単一細胞活動計測では先行研究の結果が追認されていて,つまり知覚抑制中のBOLD信号(fMRI)の低下はあるけれど発火率(単一細胞計測)に低下は確認されなかった.先行研究での矛盾は,ヒトとサルの種の違いではなく,計測方法の違いによる影響だろうという結果.

BOLD信号が計測領野への入力信号を反映していて,発火率が細胞からの出力信号を反映している違いによるのだろうという考察がされています.知覚抑制はV1以上の高次視覚野で表現されていて,fMRIではその信号のV1へのフィードバックが反映されているのだろうと.また,LFP計測では試行内の時間発展を解析すると周波数帯域によって知覚抑制による信号の低下具合が異なっていて,主に低周波帯域では低下が見られるたという結果がわかるのだけど,ブロック単位(複数試行)での解析では知覚抑制による差がはっきりしないようで,この事からfMRI計測(ブロック課題)のBOLD信号は単純に神経活動を時間的に積分しただけではなさそう,という考察がされています.

ちなみに著者の最後に名前があるLeopoldはLogothetisと一緒にやっていた方.

それでは以下に図を中心に詳細の説明.

Figure 1
Generalized flash suppressionという知覚抑制を用いています.これは,ランダムドット背景に固視点とそれとは別の視標(図の赤視標)を提示し,両眼で見せておいて,片眼の視標を消すと(もう片方では見えているのに)視標が見えなくなるという課題.
a. 4つの実験課題を行っていて,1つ目は知覚抑制が起こる課題(INV課題),INV課題において本当に視標を消してしまう課題(OFF課題),両眼共にずっと視標を表示している課題(VIS課題),課題試行の終盤に,ランダムドットが消えて視標のみの期間1.5 secがある課題(VIS_TR課題)(対照実験として,固視点だけ表示されている課題(FIX)もある).1試行は6秒.
b. FIX課題を含め5つの課題を時系列にした系列ブロック方式(Sequential block mode)と,4つの課題をランダムに並べて課題間にはFIX課題を行うランダムブロック方式(Randomized block mode)の2つのブロック課題で計測を行っています.
c.脳活動計測とは別に,知覚抑制課題で見えているかどうかをレバーで回答させる行動実験を行っていて,その結果.VIS課題,VIS_TR課題では80%以上の試行で視標見えていると回答したけれど,OFF課題では当然ながら数%のみ.そしてINV課題も知覚抑制の影響でVIS課題,VIS_TR課題に比較してとても見えたと回答した試行が少ない(グラフを目測するに20%程度).

Figure 2
BOLD信号の結果.
a.Localizer Taskで特定されたFigure 1で説明した第一次視覚野の視標に関連する部位.上が1頭目のサルで,下が2頭目サル.
b.aで同定された部位における,各課題でのBOLD信号変動率を表示した結果.FIX課題の平均BOLD信号を基準にその値からの変動率.aと対応して,上が1頭目,下が2頭目.
FIgure 1のcにある行動実験と対応して,VIS課題, VIS_TR課題が大きく,OFFは小さい.INVはその中間くらいの値になっている.先行研究と同じく,知覚抑制の影響による信号の低下が見られる結果.

Figure 3
単一細胞活動計測の結果.
a. Figure 2で同定した視標関連部位の神経細胞から記録した結果.Figure 2のbと同様に,各課題中の比較が示されているが,これまた先行研究と同様,単一細胞計測(緑線)ではOFF課題でのみ低下している.ちなみに視標関連部位以外(脳の絵をはさんで右側の図)の神経細胞では,当然ながら,4つの課題の信号では変化ないように見える.
b.左は比較のためfMRIでの変動率結果を表した棒グラフ(Figure 2のbは全試行の結果が表示されているが,ここでは各課題の平均),右が発火率の変動率.発火率の変動率の図では,4つの課題ではOFFのみが小さくなっている(INVで変化していない(もちろんこの仮説検定からそれは言えないけど)).

Figure 4
(書くのにつかれてきたので,Cだけ説明)
Cの上段はINV課題からVIS課題を引いた結果,低周波数帯域でパワーが減少している.下段は,OFF課題からVIS課題を引いた結果で,全周波数帯域で減少している.

Figure 5
低周波数帯域のLFP(a),高周波数帯域のLFP(b),単一細胞の発火率(c)の時間発展を見てみた図.低周波数帯域の知覚抑制期間でVIS(黒),VIS_TR(灰色)とINV(橙色)に差がある.

Figure 6
各計測での抑制指標(抑制による信号の低下率)の値の図(抑制指標の式を見つけられなかったのだけれど,Figure 6の図説から推測するに(INV-VIS)/(OFF-VIS)か!?)

Figure 7
これまでの結果をまとめた図.説明は省略.
 

2009年7月3日金曜日

古本屋

京都の三条,鴨川を東に渡ると,目立つところに某大手古本屋さんB●●k ●ffがあり,立ち寄ることに.

3階まである比較的大きなお店で,少しは専門書もあり...と思ったら,医学系の会議の論文集がおいてあったり,電子情報通信学会誌もあり,おどろきました.数は多くないですけどね.需要があるかはしらないですが,供給はあるんでしょうね.そんな雑誌を買い取ってくれることもおどろき.販売価格は見てこなかったのですが,いくらで買い取ってくれるんだろう.

全集の本も少しはあって,でもそういうのはマンガよりも安くなっていたりするんですね.世界名著全集のニュートン(つまり,プリンキピア)が200円...読んだこと無かったので買っちゃいました.いつ読むんだか.

他にも品揃えに,さすが京都と思ったり.この大手の古本屋さんには滅多に入らないので,他がどうかはほとんど知らないのですけどね.マンガばかりだと思っていたので,今回は新鮮でした.

ちなみに,これは先週の話しです.あー,一週間たつのが速い.
 

2009年7月1日水曜日

Papers

 
Papers,最近使っている論文管理&検索ソフトです.Macのみでしか使えず,有料ソフトウェアですが,ユーザーインターフェース(見た目と操作性)はかなり良いのではないかと.

僕自身が何で知ったかは忘れてしまいましたが,Papersというあまりに一般的な名詞をつかっているので,検索してもなかなか登場してこないです.ちなみにフリーソフトのiPaperとは別物です.

Pubmedに対応していて,このソフトウェア上で検索すれば,PDF取得&書誌情報取得までがかなり楽です.Pubmed以外にもGoogle Scholar,Web of Science,IEEE Xplore,JSOTR,MathSciNetなどなどにも対応しているので,かなり広範囲の分野で使えそう.僕の場合はpubmedとGoogle Scholarで事足りちゃう.

すでにPDFを持っていれば,Matchボタンを1つで検索して,書誌情報を入れてくれます.大抵は,DOIの情報がPDFに入っているので,それを 使っているようです.うまくいかなくても,検索窓にタイトル入れて検索すれば,候補が出てくるのでそこから選択すればOKです.Web上の論文検索サイトとうまく連携されています.
BibTeX形式,Endnote形式,CSV形式などで論文リストを出力できます.ちょっとしたレジュメとかの作成に簡単に書誌情報をコピーしたいときには,Ctrl +C のコピーで下のように.
Shikauchi et al. Prediction of aperiodic target sequences by saccades. Behavioural brain research (2008) vol. 189 (2) pp. 325-31

PDFはソフトウェアに取り込むわけではなく,ディレクトリに保存されているので,Dropboxなどファイル共有サービスを使っても便利そうです.

論文を調べたり,取得したり,管理したり,読んだり,出力したりするのがスムーズなので,楽しい.

あ,あとiPhoneにも対応します.いや,iPhone持っていないのですけどね.「iPhone」にピクッと反応する人が目に浮かぶので^^ 僕もずいぶん前から欲しいなと思っていて.ただ3GSでもSoftBankはテザリング(iPhone経由でノートパソコンをネットにつなぐ)に対応しないようなので,二の足を踏みつつ悩み中.


取り込んだ論文を雑誌毎にリストしている図,
著者毎にもできます.


PS.
Webブラウザで現在表示しているページをPapersで簡単にアクセスできるようにしておく方法.

ブックマークツールバーにOpen in Papersのボタンを表示しておくと,ワンクリックでPapersが起動し,現在開いているページに接続してくれる.
  1. Papersのメニューバーの[Help]-[Papers Help Center]をクリック.
  2. Papers Help Centerの画面がでて ,メニューバーに[Topics]が表示される.
  3. [Topics]-[Install Bookmarklet]をクリック.
  4. 表示されたページのStep 2にある「Open in Papers」をブックマークツールバーにdrag&drop.完了.

2009年6月29日月曜日

【論文】ヒト海馬におけるニューロン集団の解読

 
Decoding neuronal ensembles in the human hippocampus.
Demis Hassabis, Carlton Chu, Geraint Rees, Nikolaus Weiskopf, Peter D Molyneux, Eleanor A Maguire.
Current biology : CB (2009) vol. 19 (7) pp. 546-54

海馬のfMRI脳活動データから被験者がどこにいるかをクラス分類した研究.識別率(クラス分類成功率)を評価指標にして,チャンスレベルより高い識別率であれば,選択したボクセルは位置の情報を符号化しているだろうという論理.Harrison & Tong 2009(以前に書いた記事)でも用いられた論理で展開されています.

今回登場する脳領野は海馬(hippocampus)と海馬傍回(parahippocampal gyrus)です(海馬傍回 by wikipedia の右にある図は位置を把握するのにわかりよいと思います).

ところで,この論文を一読した時,またまた,この方法は科学的な検証手段として妥当なのだろうか?というのが僕の疑問でした.それについては,論文の要旨を説明した後で.今回は特に,実験,解析,結果から何がわかるかだけ議論したいので,著者のIntro,Discussionは基本的に触れていません.検証しようとしている仮説自体は,重要だと思わなかったですし.

 ##

Figure 1. 実験課題.
被験者はVirtual Realityの世界で移動します.移動は,前進む,左に向く,右に向くの3通りで,対応したボタンを押せば移動できる.

A.青と緑の2つの部屋があります.
B.それぞれの部屋は,スタートもしくはゴールとなる位置A-Dの配置が異なっていて,ゴールの位置を特定する手がかりとなるドアや椅子,写真,置き時計の配置も異なっている.
 被験者はゴールとなるA-Dのいずれかを実験者から提示され,そのゴールを目ざす.試行の最初は5秒からのカウントダウンがあり,数字で表示され,カウントダウンの後にゴールとなる位置A-Dが文字で表示される(C).スタートの位置はゴールとは異なる位置です.被験者はゴールに達したら,たどり着いたことを知らせるボタンを押す.そうすると画面は,ちょうどVirtual Reality内で被験者がお辞儀をしたような視覚提示となり,つまり,前を向いた画面からなめらかに床の絨毯の画像へと移ります.Cのような青い絨毯の画像になる.スタート位置からゴールにたどり着くまでが,1試行.試行の最後,絨毯の画像が提示されているときの脳活動をその後の解析に用いている.つまり,どこの位置がゴールだとしても視覚刺激としては同じ条件になるわけです.
D.青と緑の部屋の試行はブロック課題で構成され,ブロック内では2−4試行行われる.青部屋ブロック,緑部屋ブロックの順番はランダム.


Figure 2.
A.(省略)
B.側頭葉を含む白枠で囲われたところ範囲が解析に使われる部位.fMRIは3Tで1.5x1.5x1.5 mm^3のボクセルで計測されています.
CDEFG.
この後,同じ部屋(ブロック内)で異なる2つの位置を識別するデコーダー,4つの位置を識別するデコーダー,ブロック間(青部屋と緑部屋)を識別するデーコーダー,3つのデコーダーをSVM(Support Vector Machine)で構成します.また,それぞれ,識別率が最も高くなるように白枠の範囲からボクセルを選択(ボクセル数,ボクセルの組み合わせを決定する.もちろん全探索ではないと思う.)しています.

Figure 3.
2つの位置を識別するデコーダで,チャンスレベル50%の識別率を超えたボクセル群が表示されています.選択されたボクセル群の多くは海馬(hippocampus)にあります.

Figure 4.5.
Figure 3と同様に,それぞれ4つ位置識別で選択されたボクセル,ブロック間識別で選択されたボクセルです.前者はFigure 3と同じく海馬に選択されたボクセルがあり,後者は海馬傍回(parahippocampal gyrus)に多くある.

ちなみに,ここで得られた結果は,従来のfMRI解析である一般化線型モデルの解析では得られなかったと書かれています.新しい方法だからこそ得られた結果だったわけですね.

以上が,実験,解析,結果です.
  
 ##

Multivariate pattern analysisと呼んでいるこの研究での解析方法は,次の3つのことを使って検証している.
1.予測精度を評価指標とする.
2.予測の方法はクラス分類.
3.チャンスレベルを有意に超える予測に貢献したボクセルには情報表現有り.

1.に関しては以前も書いので省略.
2.に関しては,思いつきですが,厳密に言えば「位置のクラス分類に最適な情報 ≠ 位置情報」じゃないかということ.位置のクラス分類に最適な情報 ≒ 位置情報と考えてるのか.「予測」と同じ議論の展開になってしまうので,これ以上は省略.
3.に関しては,チャンスレベルより有意に高ければいいのかな? ということ.
脳活動のデータは,あれだけ至るところでつながっていれば,いろんな事象と多かれ少なかれ相関するだろうと思っています.だから,「相関が0ではない=相関がある」とは感じないのですよね.「チャンスレベルを有意に超えれば良し」という基準は,それと似た感覚を受けます.これまでの神経科学で求められていた水準は満たしていると思いますが.「相関が0ではない」よりも強い検証だとは思いますが,直感との違和感は何かな??たぶん,単なる気のせい..

情報表現の存在については,クラス分類した場合,クラス分類に使われた情報が目的の情報(今回の場合は「位置」)を使っているかはクラス分類した結果だけでは保証できないので,それはいままでの神経科学と同じように綿密な実験課題をその保証としている.今回の研究では,視覚刺激は一定だから,考えられるのは位置の情報だけなので位置の情報表現がある,という論理ですね.

ところで,選択されたボクセルは「選択されたボクセルを用いれば,クラス分類できる.」というだけなので,もしかしたら「選択しなかったボクセルを使っても,クラス分類できる」かもしれないし,「選択されたボクセルにはクラス分類に不要なボクセルがある!?」かもしれない.というのも,各ボクセルの値は独立ではないように思うから.結局これもまた,神経細胞がいろいろなところでつながっているという直感から,そう思うのです.この研究でもある程度は調べられていますが,Figure 2,3.4の結果を断定できるほど強いことか言えるのか疑問.

ちなみに,この論文,「位置情報は1つのニューロンで表現されるのではなく,集団で表現される」という仮説を検証しようとしていました.今回の結果からfMRI脳活動データから解読できたのだから,偏った位置(anisotropic structure)に集団で表現されているということを述べています.クラス分類できれば上記の検証になるということは,自明ですかね? 確かに,それぞれの位置をコードするニューロンが全くの等方的分布(一様分布)だったら,fMRIデータからはクラス分類できないはずだけど...できないか?... できないか...

一読したところでは検証になっていないと思ったのですが,それなりに考えたら,これまでの神経科学の基準を満たす検証はできているのかなと思い直しました.

PS.
 このクラス分類の方法は,結局,脳地図作成の延長で,結局,情報表現のモデルについては実験の作業仮説だけ.研究結果から類推すると,青部屋と緑部屋は海馬傍回,各部屋での位置は海馬,というように階層的な位置表現になっているように思わせるけど,それについて実験課題以上の説明はできないし,実際著者も明示的には説明もしていない.部屋内の位置が連続的な表現なのか離散的な表現なのかもわからない.視覚や眼球運動研究における「位置」とは明らかに異なる表現だろうと想像するし,結局,この研究での「位置」って何?どんな表現?
 デコーディング研究がクラス分類にとどまらなければ良いなと思う.

PS. 2009/July/02
クラス分類で選択されたボクセルは,ボクセル内にクラス分類の対象となるニューロンがあるのでしょうか?たとえば,AとBのクラス分類ならば,Aを表現しているニューロン群とBを表現しているニューロン群が1つのボクセルに内在するということでしょうか.
 それともAとBをわける,フィルタのような情報表現のニューロンがあるということでしょうか?




 

2009年6月25日木曜日

スライド作成の参考にしている本

 
PowerPointスライドデザイン(Amazon)

少し前に(数ヶ月は前だったかもしれないけれど),生協の本屋さんで表紙がふと目にとまったので,中身をぱらぱらとめくったら,結構参考になると思った本.スライド作成例がBefore(修正前)After(修正後)形式でいくつも紹介されていて,それが参考になりました.

Beforeもそれほど悪いと思えないのだけど,Afterと比較すると「あー,確かに違う.」と思えます.Afterには使った色や形にちゃんと情報が入っていて,口頭での説明が無くても,スライドを見れば直感的に内容がわかるようになっています.

スライドは視覚的な表現なので,言葉で説明されるよりも,実際に良いスライドを見た方が良いと改めて思った次第.あと,文章で説明されている本だと作っている最中は参照できないのだけど,これはテンプレートを探すように参照できるので便利.
 
最近は,発表のためだけじゃなくて,研究経過を整理するためにもスライドを作成していたりします.
 

2009年6月22日月曜日

とある研究会での感想 -予測-

 
たぶん僕だけじゃなく多くの人は,「現象は何らかの因果関係(生成モデル)で説明できる」と信じているわけですが,現象を予測できるモデルを使って科学しても良いのかという話題.

僕は科学の最終的な検証には使えないのだろうなと思ってます.ただし,もうちょっと有用性を認めてくれてもイイかなとも思う.仮説を探索したり,生成モデルにだどりつく足がかりには使っても良いんじゃないかと思ってます.
cf.モデルPrior♪

それと,情報処理に関しては,予測できたり構成できたりする程度の表現力をもった記述じゃないと,分かった事にならないと思う.やっぱり.


 

とある研究会での感想.-有意な差がない-

 
仮説検定の枠組みで科学をしているとすれば,「差がある」ってことを使って論理を組み立てているわけです※1※2.仮説検定は,統計的解析の中ではほぼ全ての研究者に了解されている検証道具だし,ここまで広く了解されている道具は他に無いんじゃないかと思うくらいです,今のところは.言ってみれば,神経科学ゲームをするルールだと思っている※3※4.

でも,会議での口頭発表を聞いていると,「差がないです」っていう結果(グラフ)を見せられて,その後の論理に「差がない」ってことが入って来ちゃっていて,なんだかなぁと思ったり.仮説検定原理主義に立てば,「差がない」結果は,みんなに見せる意味すらない分けですよね.差があるのか,ないのか,わからないという結果なんですから.

サッカーやっているのに,ボールを抱えて走り出されたらつまらないし.だったらラグビーやれよと思うし※5.与えられた制約がある中でも,すごいことをできるかってのもゲームのおもしろさなんで,..科学の精度を保つためには必要だと思うのです.妄想は話すのも聞くのもそれなりに楽しいから,前置きして話せばいいと思うのだけど※6.

とはいえ,結果的に差の認められない結果も,この実験もやりましたよ,という情報にはなるので,親切であると思ったりもする.


※1.もちろん,さらにA>B or A<Bもわかる.
※2.(一応のため説明,仮説検定でモデルを同定するとすれば)AとBとCの3つのみが仮説(モデル)の可能性だとすれば,Bであることを示すには,AとCのモデルは計測データと「差がある」ことを示す.そしたら,Bであることになる.
※3.論文では,仮説(モデル)の予測がデータと一致していそうでしょ,と読者に主観的評価を求めるような図もありますけど.だったら,何かの情報量規準を使っちゃえばと思う.
※4.相関値がいくつだったら相関していると言えるのか決定できないし,相関も検証としては使えないかな.特に神経科学のデータだと,いたるところがつがっていて相関ならいたるところにあるので,相関しただけだと何かを言ったようにはあまり感じないです.
 ただ,1変量の相関なら上記の通りなのですけど,多変量なら特定のことが偶然に起こりえる可能性が極端に小さくなるから,多変量の再構成は検証道具にありじゃない,と思っている.
※5.ボール抱えて走っても,ちゃんとサッカーだ,って説得力を持つように説明できれば,使える戦略ってことになって,おもしろい.
※6.実験αで差があって,それと同じくらいサンプル数をとっている同質の実験βで差が認められなかった場合,βは差がなさそうって論理ですかね.同質ってことをうまく検証できればそれでもいいのかな.うーん.
 

Natural Image Statistics

Natural Image Statistics
— A probabilistic approach to early computational vision
Aapo Hyvärinen, Jarmo Hurri, and Patrik O. Hoyer


本のPDFとMatlabのプログラムコードがダウンロードできるようになっている.

2009年6月17日水曜日

Dr.

2ヶ月ぶりです.2ヶ月間は,研究をし,来年もまた研究できるようにするために学術振興会特別研究員の申請書類を作り,ゼミでの発表をし,講義をし,また研究をし,実習をし,という日々.今は,また研究に戻ってきました.

 ##
 
ところで,最近,同業!?の主人公が出てくるドラマをTVで放送しているらしいですね.

同業の仕事がドラマや映画になると,アラが目につくものかなと,ちょっと思ったり.いや,見たことないのですけどね.Web上で話題に上っているのを目にすることが多いので.

一昨日,床屋に行ったときもそんな話題が出ました.一時は,理容師さん達の世界では「カリスマ」が巷の話題になりましたねー,とかそんな話で.

アニメだと,登場人物がビルの屋上から飛び降りて,死んじゃうのか,さらに走り出すのか,で以て現実との距離が測れるという仕掛け.くだんのドラマは,そういう世界観!?を示すのがうまくいっていないのでしょうかね.

ところで,これ,素人の脳科学好き兄ちゃんが活躍するドラマ?
Dr.ならぬ,Mr. Brain.
 

2009年4月2日木曜日

ぼっとう

Neurons in the brain - illustration

疲れたと言って,子供が靴だかに頭をつっこんだ写真が一番上にあるのも気持ちが悪いので,投稿.

年度の合間で少し穏やかな時間がすぎています.来週まではナノメディの仕事はないはずなので,研究に集中.幸せな時間です.しばらく没頭します.しています.Radwimpsの「おしゃかしゃま」と「ふたりごと」を聞きながら没頭中.


 

2009年3月25日水曜日

ひとくぎり

 
昨日はひとくぎりでした.

たぶん,結果的に.
今日は起きたら,どっと疲れが出ました.
ひさしぶりにサッカーした翌日のような感じ.

2月から3月は公私ともにいろいろなことがあって,
立て続けだったので,緊張感もとぎれなかったのですが,
今日はその緊張がゆるんだのか,久々にすごい疲れようです.

また明日からがんばろうっと.

この投稿もちょうど100投稿目で一区切り.
 

神経科学における検証に再構成を使う.

 
(※kazuhi-sさんからのコメント,その返答コメントもあわせて読んでもらえたら嬉しいです.)

学部,修士と工学部にいたときは,実験が多少精密でなくとも実験から得た知識を土台に適当に飛躍してうまい技術応用ができちゃえばOKという感覚がありました.技術は目的とする精度が実現できればOKでした.

神経科学に足を踏み入れて以来,科学ってのは精密な行為なんだなとことあるごとに痛感しています.自然を理解しようということに「目的とする精度」なんてものはなくて,真のモデル※に限りなく近づこうととする試みだからです.

僕なんかが実験をすると,訓練が足りないので生理学者や心理物理学者のような精密な実験にならないことがあったり...そもそも僕が興味をもつ高次の脳情報処理を考えると精密な実験になりにくかったり...

とはいえ,精密な実験ができなければ,生理学者や心理物理学者に負けた感じなので,良い実験はしたい.でも普通に実験して解析したのでは,あちらの(生理学者や心理物理学者)の土俵で勝負する
ことになって,敗北の第一歩.こちらの土俵にひきづりこむのが勝負の定石というもの.

高次の脳情報処理も対象していながら精密な実験系ができないかなと思っていました.います.

 ##

突然ですが,
脳活動から脳内で表現されている情報が再構成できれば,少なくとも再構成できた程度には脳内にその情報が存在していることを示せます.再構成といっているのは,Miyawaki, Uchida, et al.,2008.でやっている事です.一般のデコーディング研究,BMI研究でやられているようにクラス識別するだけ
ではなく,再構成する.再構成って強力な方法論だと思います.

相関する脳活動の領域を特定しただけより,ずっと強い主張ができます.電気生理実験で神経活動を詳細に分析するよりも強い主張ができる場合もあると思います.

ところで,素朴に「良い符号化モデルを利用して,良い再構成ができる」と考えます.なので脳の符号化(encode)もしくは情報表現(represenation)を考えます.再構成するためには,それは必然的に数理的な表現になります.つねづね,モデルはできるだけ数理的表現であるべきだと思っているので,再構成を試みれば自然とその要請に答えることになります※2.

さらに脳内の情報表現を再構成したら,どれだけ良く再構成しているか評価することも必要です.ここで,再構成した画像を見せた画像と比較して誤差を考えても意味はない.なぜなら再構成したのは,脳内の情報表現だからです.仮にぼやっとしか再構成できなかったとしても,脳内でもぼやっとしか表現していなければ良い再構成です.逆に2次元の画像を見せているのに,高次の領野によっては事前知識とかを使って,3次元情報が符号化されているかもしれない.その場合は3次元情報が再構成できなければ,ダメな再構成です(再構成はむずかしいので,当分の間は「見せた画像により近い再構成画像が良い再構成」ということですむと思いますが).

では,脳内の符号化の再構成をどのように評価するか,というか,どの様な基準で最適化するかといえば,ヒトの行動が最もよく説明できるように最適化する必要があります.この様に書くと,当たり前の,これまでも生理学実験,心理物理実験で行われてきたことです.ところが,再構成して終わりと考えてしまいがちな気がします(少なくともBMIを目的にしている人達はそうなるでしょう).なので,仮に再構成には必要なくとも識別課題など運動・行動が必要な課題を被験者に課して,脳内の情報表現を再構成した情報から始めて,その識別行動をこれまた再構成して,実際の行動と比較する必要がある.これは,つまり,脳内の復号化の数理モデルを考えて,運動もしくは行動を再構成するということです.

 ##

脳の符号化モデルを考えて再構成,さらに脳の復号化モデルを考えて行動と一致するかで再構成(符号化モデル)を評価をする.ここまでやれば,生理学や心理物理学で行われている実験の精密さを保ちながら,高次視覚情報処理で扱うような数理的に高度な問題を扱えそうな気がします.

神経科学において再構成することがの検証の水準になったら,再構成するのには多変量解析なども必要だし,こちらの土俵にひきずりこんでの勝負になるなぁ※3,


と酔ったアタマで考えてみました.

今日は以前にいた研究室の追いコンがあり,
今日の午後,進捗報告も兼ねてしゃべりに研究室に伺ったので,
そのまま追いコンにも参加.
あいかわらず活気のある研究室でした.

※1
僕は真のモデルが存在すると信じているわけですけどね.

※2
自然言語で正確に表現できないとは思はないですけど,やはり計算処理を表現するのに最適化された表現は数理的表現です.あと,(たぶん,前にも同じ事を書いたけど)僕みたいに自然言語で説明したり説明されたりして,理解したつもりになってしまう人間にはちゃんと定式化するという作業は自分をだまさないのにいい方法だと思います.そんなことを考えると,数学が得意じゃない人ほど数理的に表現してみるということをしないと正確に理解できないじゃないのかしらんと思ったり,思わなかったり.

※3
統計学習とか多変量解析を自分の土俵とするべく,もっと勉強しないと.
 

2009年3月23日月曜日

まだ一区切りとはいかず.

 
1週間前には入っていなかった予定が入ったり,一区切りとはいかず.

とはいえ,自分の研究に関する予定なので良しです.

急な予定でも,「能動的に」予定したと感じられるように成れれば,

楽しく仕事ができると思ったところです.

受け身に感じているようだと,忙しさばかり感じてしまって良くない.

 ##

通りは正装した人達でにぎわっています.

卒業式かしらん.

明日は

午前からナノメディシン融合教育ユニットの修了式で今年度最後の任務です.

午後はセミナー.
 
今,昼メシ.
 

2009年3月19日木曜日

マフラーのタグ

 
マフラーのタグは取るらしい.
よく見ると,取ってしまえるように仮縫いになってる.
マフラーを身につけていて,タグが前に出てくると
何となく後ろにひっくり返したり.
でも,タグを取ってしまうと,
マフラーがのっぺらぼーなのでとりあえずつけたまま.

京都はだいぶ暖かくなって,
朝夕でもマフラーもいらない季節になってきました.
 

2009年3月14日土曜日

もうちょっとで一区切り.

 
実習の発表会が終わった.

ふぅ.

あとは,明後日,明明後日(しあさって)の研究会に向けて,スライド作成.

今回はくろーずど(Closed)な研究会.

自分の研究はまだ話せないので,研究周辺のことをまとめようかと.

一区切りまでもう少し.

終わりが見えてきた.

それが終わったら,しばらくは研究に集中できそうだ.
 

2009年3月13日金曜日

研究会

 
先週から忙しくてちょっとナーバスになっていましたが,この3日間は研究会に参加していろいろと刺激を受けて,元気になりました.最近発表をしていないのですが,早く発表したくなりました.発表できる段階まで早く研究を進めなくては.

以前にいた研究室のメンバーが何人も発表していたので,1日が終わってみんなで食事に行ったので,同窓会的な気分も味わえました.

ところで,数理的に表現しているところを相手に説明するのはなかなか難しいところ.目新しい計算になったら,数式を順におって書いてみないとなかなか理解できないのが本当だと思います.だけど,発表ではそれをうまくわからせる.ありがちなのが,数式の定性的な説明で終始して,わかった気にさせるけどあまり正確ではない説明.もしくは,数式を逐一正確に説明して,説明が終わった頃には発表の全体が見えない説明.僕の場合は,比較的前者になりがち.わかった気にさせるだけ.今回の研究会で友人の2人が,わかりやすくて正確な説明をしていて,発表の仕方が参考になりました.「わかりやすくて正確」,言われるだけだと現実感はないですが,実際に見ると,できそうな気になります.

明日は午前にサルの世話.午後は1年の総まとめ実習の発表会です.
 

2009年3月10日火曜日

仕事にかかる時間のみつもり

ポスター作成に10時間.

他の資料作成で図とかは9割方できていたから,4,5時間と考えていたのだが...

配置とか微妙な図の調整に時間がかかった.

もちっと正確に自分の仕事にかかる時間を見積もれるようになりたい.

ならんと,計画がくるう,くるう.

それなりに綺麗なポスターができた割に,

鑑賞に浸っているヒマがないので,この満足感のなさ...

さて,次に備えないと.
 

研究は楽しいか?

 
研究という仕事が楽しいかって聞かれると,なかなか即答できない.

もちろん,つまらなくはないけども,楽しいと即答するには到らない葛藤もたくさんある.昨今のポスドク問題とか見ていて,科学者の職業的な生命はなかなかに儚いと感じるのも,その一つ.他にもたくさんあるけどね.スポーツ選手でも,自分の子供に「スポーツ選手にはなって欲しくない」と言う人がいるけど,その心境に似ているかもしれない.

あと単純に,夢中でやっている事に対して,楽しいも悲しいも,感情はあまり湧かないから,楽しいって言葉はピンとこない.どちらかと言えば,「興奮」という言葉があっているか.

ただ,いつか「楽しい!!」って無邪気に即答できるようになりたいとは思う.そんでもって,自分を見た人が,「楽しそうに仕事するね!」といってくれたら嬉しい(簡単に「研究は楽しそうだ」と言われるのは少し抵抗があるのだけど).辛そうに仕事をするのは良くない.いや,別に僕が今つらそうに仕事をしているとは思わないけど,たぶんそこまで楽しそうではないだろうな.

論語に「知之者不如好之者.好之者不如樂之者.(これを知る者はこれを好む者にしかず。これを好む者はこれを楽しむ者にしかず)」.「楽しめ!!」とも,「楽しめない奴はダメッ」とも.論語の研究者ではないから勝手な解釈ですが.

楽しめるようになりたいし,それを表現できるようになりたい.ロナウジーニョ(サッカー選手)は楽しさを表現できるすごい選手なんだけど,それはほんとすごいです.
ふーん,昨年の秋頃にこんなことを書いていたらしい.
 

2009年3月9日月曜日

マスカワさん

 
「芥川賞発表」の表紙に惹かれて文藝春秋を買っていたけど,ほったらかしで部屋に転がっていて,ふと今朝手にとって目次を見てみたら,

「ノーベル賞,嬉しくないとい言った理由(わけ)」

ノーベル賞を取った益川敏英さんの記事がありました.中も何となく読んでみて,南部さんの仕事について,クウォーク6個だと思いついたときのこと,実験家について,日本人は理論よりモノが好き,など数ページなので5分,10分で読めておもしろかったです(芥川賞の小説は読めていないけど).

あと,ひたすら歩きながら考えるんだ,というところも目をとめました.考えることには体力がいる.年を取ると,考えることにしようと思わないと集中して入っていけないと.歩きながら考えるのか.たしかに京都に来て,大学への行き帰りに歩く時間があって,それはとてもいい時間になっている(奈良にいたときは,寮の部屋から研究室の自分の席まで5分足らずだったもので.なぜか早足でだったし.)僕も「考えること」が研究者として一番必要なことだと思っている.

今週は,土曜日のための資料を作成,自分の研究の解析,東京での研究会に参加&ミーティング,土曜日はナノメディシンの実習の発表会.来週月曜の研究会のために発表資料作成,という感じですね.

「では,いつか必ずノーベル賞をもらうと確信していたんですか,と聞かれるんですが,それは答えるのが社会的に難しい.なにをいっても生意気になりますしね.(中略)
だいたい,科学者として客観的に見て,自分の仕事の価値がどのくらいかという位置づけがわからんようでは問題があります.うん,我ながら,うまい言い方をしたね(笑).」

 

2009年3月8日日曜日

20時間

20時間ほどかけて(←別に徹夜でというわけではなく),

A4で10枚ほどの研究報告書を書いたが不出来だなぁ.

提出時間が迫ってきたのと,他にもやらなければいけないことがあるので,出したけど.

確定申告もやらなければ.
 

2009年3月7日土曜日

がんばってる眼球運動

 
30 deg/sで水平方向に運動する視標を僕の目が頑張って追っている様子.

0 msの時に視標(視覚目標)が動き出す.
150 ms 遅れて僕の目が円滑性追跡眼球運動で動き出す.
(潜時が150 msはちょいと短いな)
でも,視標速度に追いつかない..
200 ms あたり,跳躍性眼球運動(サッカード)で視標に追いつく.
ただその後も,
円滑性追跡眼球運動の速度は20 deg/s 程度までしか上がらず.
30 deg/sの運動視標ならサッカードせずにギリギリ追える速度と思ったのだけど.
(たぶん視標の初期位置提示の仕方が微妙にマズイ)

200ms-270msあたり,
跳躍性眼球運動が起動している時も,
ウラで円滑性追跡眼球運動系が働いているのがイイ感じです.

これ,眼球運動の基本的な実験.
実習でやった実験の結果の1つ.
あらためてグラフにしてみたら綺麗だなと思ったりした.

ちなみに,
オレンジ色の一本一本は1回の試行での眼球運動速度.
その平均が青い線.
deg:degree,角度(眼球の速度は角速度で表すので).
s:second,秒.
ms:milisecond,100分の1秒.

  

2009年3月4日水曜日

第二章

 

ということで,第二章のはじまり,はじまり.
 

2009年3月3日火曜日

朝は会議,2年前をふり返ったり.

今日は朝一で会議.
来年度の履修生の選考会議.
へぇー,こうやって選考するのですか.
そんなところが選考ポイントなんですか.
という感じでした.
いろいろと思うところもありました.

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ふと奈良にいた時の,2年くらい前に書いてたのを読み返したら,
結構好き勝手に書いてるな.
今見たら,ちょっと怖い.
あの時はGoogle検索にひっかからないようにしたから,
それもあってか大胆なこと書いてたなぁ.
今は無意識に自己規制!?
それだったら,やだなぁ.
(こちらのサーバではPukiwikiが使えないので,
 Web上からは消えちゃってます.
 また時間がある時にちゃんと移設する予定)

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この時間になると帰るのが面倒になります.
奈良いた時のようにソファーのある部屋があれば,
確実にそこで寝ているでしょうね.
帰ってちゃんと寝なくては.
 

2009年3月2日月曜日

週末

 
昨日は,大学院の友人(一コ上の先輩)の披露宴にでるために東京にいました.朝一番にかなり伸びていた髪を切りに床屋へ.最近はこんな事でもないと髪を切りにいかないなぁ.

午後から披露宴に参加.披露宴に参加すると,結婚したのも嬉しいですけど,久々に会う人達としゃべれるのも楽しい(逆に当人は忙しくてあんまり話せないしね).お互いに近況報告.

それと,今回は会場の場所が中学1年まで過ごした武蔵小金井だったので懐かしかった.駅の南側は,大学1年か2年の頃に一度来たことがあっただけなので,久しぶり.武蔵小金井駅の南口にある商店街を歩いたのは10年ぶりくらい.小学生の頃に親父と入ったラーメン屋は無くなっていたり,記憶にある店舗は2,3件だった.十年一昔.

帰りの新幹線で,マスクしてゴホゴホと咳をしていたので,隣の人がのど飴くれた.その方は岡山までの帰りだとか.東京ー京都間だと2時間半くらいなので僕にとっては論文読んだり作業するのに集中できるいい時間ですけど,こうやって初めての人としゃべるのも好きです.そういえば,前回東京に行ったときは,京都に七宝の調査に来ていたという人達と隣になって,すこし話しして盛り上がって(その人達は乗ったときからお酒を飲んで盛り上がってたけど)一緒に飲んだなぁ.一期一会です.

いろんな人にあった週末でした.明日は9時から会議です.
 

2009年2月25日水曜日

ヒトヤマ,フタヤマ.

  
僕は,大学院生,社会人の教育プロジェクトに関わっているわけですが,年度下半期は課題解決実習として,履修生は1つのテーマで研究作業を5ヶ月ほど行います.大学院生,社会人ですのでそれぞれの都合にあわせて1ヶ月1,2度研究室に来て作業.来られた日はだいたい10時から17時まで実習です.来た時に作業できるように準備したり,作業途中の息抜きのために論文紹介をしたりしています.

今週は偶然にも日曜日から入れ替わり立ち替わりで4人の方が来て,今日まで4日間連続で実習.先週は,今回でほぼ完成にたどりついてもらうために,ここまでの作業と完成までの溝を埋めるべく事前に準備作業も.以外に大きな溝があったり..さすがに疲れました.

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実習テーマはこちらが与えていて,自分自身のためにも,僕にも慣れない研究道具が使われるテーマにしてます.おかげで実習前にはそれなりに準備にも時間がかかるのですけどねぇ.

実習のテーマは2つで,眼球運動の計測とシミュレーションでの検証,眼球運動モデルを駆動カメラに実装,です.

1つ目のテーマでは,
これまで実験環境はC/C++というプログラム言語で構築していたのですが,MatlabのtoolboxであるPsychtoolboxを使ってみることに.解析などはMatlabを使っているので,実験環境もMatlabにできれば統一できて便利かなぁと(Matlabそれ自体は(品よく言えば)高価なんですけど,いろいろとフリーのtoolboxがそろっているので離れられない).今いる研究室では以前からPsychtoolboxを使っているし,長年にわたって視覚眼球運動実験をしてきた研究者がいるので,教えてもらいながら試行錯誤.正直なところ心理物理実験に関しては十分に訓練を受けてないので,今更ながら些細な,それでいて重要な手技が身にしみていってる感じです.

2つ目のテーマでは,
SimulinkというMatlabに付属した!?シミュレーター環境で作成した眼球運動モデルの通りにカメラを動かそうというもの.SimulinkとハードウェアであるカメラはLabviewというソフトウェアを使ってつなぎます.LabviewはSimulinkを簡単に読み込んでくれるので,ハードウェアとのインターフェースとして使えるように環境を整えています.ここも基本的な作業はMatlab環境で統一しようと目論んでいるわけです.それで,簡単とはいえ,やはり初めてだと試行錯誤が必要.こちらは,大学院生であるOくんが地道に作業してくれて,昨日ひとまず動くようにしてくれた.細かいところは直さなくてはいけませんが,ここまでの8割はOくんの貢献.これには感謝.予定通りの目標までたどり着きそうです.

いまのところ,眼球運動モデルにしたがってカメラが動くだけですが,来年度はカメラの画像処理も加えて,視覚モデル(Ittiらの注意のモデルとか)も実装できるかなと考えています.視覚と眼球運動の両方のモデルを駆動カメラに実装.そういう環境を整えておけば,新しいモデルを作った時に,すぐにおもしろいデモンストレーションができそうです.

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半年の実習だけでは,研究として「新しい事」までにはたどり着かないのですが,有意義な研究環境が構築されているように思います.数学や理論研究以外は研究環境を構築するのも時間をとられる作業です.3月14日に実習の発表があり,もうヒトヤマくらいありそうです.

個人的なことでもヒトヤマあるのでヤマ2つ.
並行して,自分の研究も頑張らなければ.

がんばります!

        っと気合いを入れてみる.
 

複数のWindowをスッキリと区画するソフト

 
MaxTo

PCで何かを参照しながら文章を書いたりする時に,2つのWindowを半分づつくらいにして両方が見られるようにしてます.これを使うと,Windowを最大化するときの大きさを任意に決められるので便利.2つのWindowに妙な隙間があったりせず,ぴったり感があって気分がスッキリです.

3分割してみたり.

これで最大化のボタンを押したり,タイトルバーをダブルクリックで最大化すれば,そのエリアで決めたサイズになる.Shiftを押しながら最大化すれば,画面いっぱいのサイズ(普通の最大化).区画はMainとAleternateの2種類つくれて,Altを押しながら最大化すれば別の区画の仕方で最大化できます.


Windows用のソフトです.
 

2009年2月21日土曜日

日が長くなって.

 
最近は夕方5時くらいだとまだ外が明るいのがうれしい.

5時頃になって,ふと外を見て真っ暗だとなんか焦るから.
 

Formula one

 
Sneaky peek of the Red Bull RB5


F1に興味があるわけではないけれど,かっこえぇなー.

変形したり,パワーアップしたりのアニメーションがかっこいいなー.

パワーアップするシステムのトコは,

「ブレーキングとか生み出されているエネルギーが使われない時に
エネルギーをバッテリーに充電し,
バッテリーがフル充電されたあと,
スイッチを押すと6.5秒の間82馬力パワーアップ!」

(という主旨のことを言っていたと思う,たぶん)
 

2009年2月20日金曜日

シバフ


created by imkw
Green Island
 「大きな企業が実施するような、木を植えたり、井戸を掘ったりは
  僕たちには出来ませんが、想像することは出来ます。
  少なくともそのイメージを喚起させる事が出来れば幸いです。」

実行する前に,まず語る,というコンセプト.
もしくは,自分ができなくても,みんなに語る,というコンセプト.
  

【論文】復号化技術により低次視覚野の作業記憶の内容を明らかにする.

 
Decoding reveals the contents of visual working memory in early visual areas,
Stephenie A. Harrison & Frank Tong.
Nature , doi:10.1038/nature07832; Published online 18 February 2009


低次視覚野に作業記憶がある,という論文.うーん,率直なところ論文を読んでも半信半疑.

タスクは,被験者は2つのナナメ縞を見せて,キューに従ってどちらかを記憶させます.ナナメ縞を2つ出してキューが出終わるまでが2秒,そこから記憶しておく時間が11秒間(Figure. 1).記憶期間の低次視覚野のデータから,どちらのナナメ縞かを識別できています(Figure. 2).

それで,被験者が記憶期間後半の脳活動を使っても識別率が低下せず(Figure.3),さらに対照実験として被験者がナナメ縞を記憶をする必要のない課題をやらせたら,その時は識別できなかった( Supplementary Figure. 5 )という結果が得られています.このことから,低次視覚野が一時記憶 作業記憶としてナナメ縞を保持しているだろうと言っています.
<追記> ということで,これは一時記憶の効果でもなさそうということですね.

また,ナナメ縞を想像(予測)して下さい,という課題もやっていて,それも識別率がチャンスレベルと有意な差になっていない(Supplementary Figure. 6).視覚刺激の入力がないとダメのようです.つまり,メインのタスク(記憶課題)で識別できているのは,長期記憶ではなく,一時記憶 作業記憶の影響によるものだろうということです.

実験設定など,vikingさんの脳賦活の復号化(decoding)によって明らかにされた視覚野におけるワーキングメモリの内容:decoderは心のうちに思い描いたことまで読み取れるのか? が詳しいので,僕はサボります.そちらを読んでみてください.

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最初,Supplementaryのほうを読まずにいたので(本文にも文章で書いてあるのですが,よく理解していなかった),血流変化が15秒くらいつづくことを考えると,一度情報が乗ってしまった血流が15秒くらい情報を保持している可能性は十分にあるのでは??と思っていました.Supplementary Figure. 5の結果をみて,それなりに納得.記憶課題では,低次視覚野が情報を保持していて,その発火活動による血流の増加があるはずなので,その効果で識別を可能にしているのでしょう(記憶課題でピーク後の血流低下は遅いということは確認されているのだろうか).

fMRI信号が入力を表現していること考えると,うーん,いろいろ妄想される...

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脳内での情報の有無を検証するために復号化を手段として使うやり方は,僕もやってみたいと思う方法です.ただ,再構成ではなく,この論文のように識別しているだけだと,識別だけでは,ナナメ縞を識別できる何らかの情報,と言っているだけで少し弱い証拠です.「何らかの情報」が全く関係ない,刺激とたまたま同期した情報だったりすることもあるわけです.なので,識別課題だと関係ない情報は含まれいない事を説明しなくてはいけない.この論文では眼球運動の影響がないことの説明(言い訳)が必要になってしまいます.
 
Miyawaki, Uchida, et al.(2008)のように再構成しているならば,仮に関係ない情報が入っていても結果から目に見えて確認できますし.再構成できれば,得られた情報が脳内にあることの十分条件です.

とはいえ,この論文,復号化技術を神経科学の方法論にした点では,初めての論文ということになるのでしょうか.これでNatureに載ってしまうのは甘い気がしますが.

<追記>
+ 感覚記憶,Sensory memory.
+ 一時記憶(短期記憶),Short-term memory,cf. Miller, G. A., The Magical Number Seven, Plus or Minus Two : Some limits on our capacity for processing information, Psychological Review, 63, 1956.
 - 作業記憶,Working memory,cf. Baddeley, A. D., Working Memory, 1986.
+ 長期記憶,Long-term memory.
 +宣言的記憶,Declartive memory.
  - 意味記憶,Semantic memory.
  - エピソード記憶,Episodic memory.
 + 手続き記憶,Procedural memory.

上記,「作業記憶は目的のために記憶される」,ということで一時記憶と分けた.記憶機能に関する用語・概念で,認知科学とか心理学で考えられたのか.これらの概念で脳の機能を的確に表現できるかは知らんが,とりあえずメモ.
 

セカイカメラ

 
世界をクリッカブルにするオープンプラットフォーム──「セカイカメラ」

すげーなぁ.

つい数日前に,電脳コイル(Wikipedia)というアニメを知ったのだけど,電脳メガネのiPhone版.

大学で哲学を専攻していたヒトが作っちゃえるのだから,技術をつくる技術も発達したもんだ.

でも,一度セカイカメラを使ってしまったら,使ってない時にも「タグ」が想像されて,風景がうるさく見えそうな気がする.
 

2009年2月18日水曜日

もくもくと.

黙々と作業.

淡々と時間だけが過ぎます..


tacica の 人鳥哀歌(ペンギンエレジー)

サカナクション の ネイティブダンサー

がヘッドホンから繰り返し.
 

2009年2月17日火曜日

サッカー批評



表紙を見たとき,おっと思った.たぶん僕より上の年代で,サッカーを見ていた人にはデジャビュなはず.

僕が中学生だった頃に,あとからドーハの悲劇と呼ばれる試合で負けて,うなだれたラモス瑠偉がこの表紙と同じだった.あの頃は,うなだれたラモスの写真をたくさん目にしたし,その後もことある毎に目にしたので記憶に残っています.表紙をめくると中に,そのラモス瑠偉の写真が出ています.

この雑誌はサッカーの雑誌で,年に4回だけ発行される季刊誌.創刊号の頃から表紙が好きで,一時期僕には内容ともどもおもしろくなかったのだけど,最近また内容もおもしろくなって表紙も好きなのが続いています.

スポーツの雑誌は往々にして試合の寸評が記事だし,表面をなぞった結果論が多く,その内容が正しいのか判断する材料を挙げてくれないので,あぁそうですか,という感じ.この雑誌は,テーマにそっていろいろな角度からの記事があるので,記事がどういう文脈で書かれているのか,その根拠も比較的理解できます.あるチームが試合で勝つまでに至る過程が,クラブの財政だとか,運営だとか,行政や地域との連携だとか,子供達の育成だとか,メディアだとか,もちろん試合での戦術なども網羅的に記事になっているのでおもしろいです.おかげで読むのに時間かかりますけどね.ちょろっとした時間に読むときは,山崎浩一の「ぼくらはへなちょこフーリガン」とかインタビュー記事とか.

ところで,少し前までの日本には職業としてのサッカー選手は数えるほどだったわけで,職業ではなかった仕事が職業になる,というのを僕はおもしろく見ています.サッカーを職業として成立させるための仕掛けとか組織とか,サッカー選手を職業にした派生でその他にもいろいろな仕事が職業になっている様子を見るのはおもしろいし,参考になります.長くサッカーを続けていたおかげか,接点のある人が選手やスタッフとして働いていたり,小さなクラブが地域リーグからJリーグへとあがっていく様子も比較的近くで見られたので実感になっています.この雑誌はいろんな職業の人が登場するので,その点でもおもしろいです.科学もたくさんの仕事から成り立っているのだけど,職業になってもいい仕事がまだ結構あるように思いますね.

ちなみに紹介している号は12月に発売されているのですが,まだ書店にあったので今日買った.
 

2009年2月13日金曜日

知り合いの論文

Social distance evaluation in human parietal cortex (Yamakawa Y, Kanai R, Matsumura M, Naito E, PLoS ONE. 2009;4(2))

人間関係の心理的距離(好きだとか嫌いだとか←正確には違います)とその人との身体的距離(物理的距離)について,いろいろな点で同じだったという話.顔写真をはった人形を使っての心理物理実験とfMRI計測実験してます.心理的距離と物理的距離が相関していて,両方の距離が頭頂の同じ場所に表象されているという結果.まだちゃんと読んでいないのですけど.

著者の方を知っていて,論文が出るまでの紆余曲折を聞いていたんで,今日の朝に出ているのを発見してうれしくなってしまった.

何かの時に著者の方と話をした後に,「持ち歩いてんだよ」と鞄の中から実験で使われている人形セットが(笑)被験者として実験をやりました.でも,僕は,この論文の主張に沿うようなイイ被験者じゃなかったんですよねw.嫌いな人も好きな人もまんべんなく自分の周りに並べたんで.
 

2009年2月11日水曜日

【論文】マカクザルの脳活動から予測したヒトの側頭葉前部の顔選択的活動部位

 
An anterior temporal face patch in human cortex, predicted by macaque maps,
Rajimehr R, Young JC, Tootell RB,
Proc Natl Acad Sci U S A. 2009 Jan 28


側頭葉に顔に選択的に活動する部位があり,nonhuman primates(nhp)の研究では,側頭葉の前(anterior temporal face patch, ATFP)と後ろ(posterior temporal face patch, PTFP)の2つに顔選択的な部位があったのですが,ヒトではFFA(fusiform face area)が知られているだけでした.このFFAはnhpでの後ろ側であるPTFPに対応するのだろうと思われていますが,では前側のATFPに対応するヒトの脳部位を同定しようというのがこの論文の主題.マカクザルとヒトで同じタスクを用いたfMRI計測をおこなって,脳の対応関係をみたところ,ヒトでもATFPに対応する部位が予測できたということです(Fig.4.).

側頭葉の前側は,最近のPET研究では有名人やよく見る顔で活動することが報告されているのですが,fMRI研究などでは見逃されていることも多い.その1つ目の理由は,側頭葉の前側が担っているのは顔認知の周辺的な情報だからだろうと.ここは有名人や近しい人の顔を見たときに活動する部位で,社会的な関係(特徴)の情報を持っているのではと言われているようです.2つ目は,fMRI計測ではSNが悪いところで有意な活動が出にくいんだとか.この部位はだいたい耳の横にあるのですけど,脳と骨の間の空洞が大きい部分なのでSN比が悪い(Fig.S7).

頭頂葉の顔選択部位(parietal face patch, PFP),前頭葉の顔選択的部位(frontal face patch, FFP)の対応も少し議論されています.前頭葉にあるFFPは,ヒトではPCG(precenral gyrus)なのではないかと.


この論文の論旨とは関係ない感想なのですが,FFAは精通している視覚刺激に選択的(たとえば,羊飼いは羊を見てもFFAが活動する)とも言われているのですが,僕もそうなんだろうと思っています.普通の物を見るアルゴリズムとどこが違うのかなぁという疑問がいつもおもうところで,最適性の程度が違うのかなと思っています.あと,他の部位と相互結合があって視覚以外の付加的な情報と関連づけられているのが,この部位なのかなと妄想しています.

 ##

 ヒト10人とサル2頭でfMRI計測しています.タスクは顔(集合写真のようなたくさんの顔が写っている画像)と場所(室内の画像)を使って,被験者は固視点から目を動かさずに画像を受動的に見ているだけ.ちなみに,集合写真を見せた方が顔に選択的な活動を検出されやすいみたいです.もう一つ,顔(1人の顔)と物を見せるタスクもやっていて,Fig.5でその結果を見せています.
 脳活動の解析では,ヒトとサルの脳活動の対応をとることが目的なのと,上記でも書いたようにATFPは普通に解析したのでは有意な活動が見えにくいので,統計的に有意に出やすいように大きめの範囲で平均を取ってから検定にかけています.


FIg.1.
A,B.monkey Jとmonkey Rの脳活動.赤-黄色が顔選択的に活動している部位,シアン-青が場所選択的に活動している部位.左下が後頭葉で,右に行くと側頭葉,上に行くと頭頂葉から前頭葉.Cはmonkey Jの前頭葉を横から見た図(上が右脳,下が左脳).

Fig.2.
ヒトの個人毎の脳活動,4人分.

Fig.3.
ヒトの被験者10人の平均脳活動.解析で有意な活動が出やすくなっているので,一般的な解析より側頭葉の下が広く活動しています.

Fig.4.
サルとヒトの脳活動の対応をとった結果です.対応の取り方は,Caretというソフトウェアを使っているようです.アルゴリズムとしては,脳の溝で主要な部分を対応点として,サルとヒトのそれぞれの脳を中間的な脳の形に変形させています(cf.The visual neuroscience のOrganization of visual areas in macaque and human cerebral cortex. David C. Van Essen(PDF)の章,Fig6を見るとわかりやすいです.ちなみにこの本,手元にあるのですけど,このページは白黒なんですよね.pdfで見るとカラーになっているので,そっちの方が見やすいです.).
Aがサルの脳活動,Bがヒトのアトラスにのせたサルの脳活動,Cがフラットな脳の図にのせたヒトの脳活動,Dはヒトの脳活動.赤矢印がPTFAもしくはFFA,緑矢印がATFA,青矢印がFFP.
サル,ヒト共に3カ所活動しているのがわかります.

Fig.5.
顔と物のタスクでの脳活動.A-Eがヒト,Fがサルの結果.これでも側頭葉の前と後ろで活動しているのがわかります.
 

2009年2月5日木曜日

TVを見て,節分は結構盛り上がる行事だったのねと再認識した.

 
「京大広報」を眺めていたら,京大の情報学研究科は去年の暮れが創立10年だったとか.情報学って思ったより若い.

僕は20代最後の1年です.
 
今日は実習.
 

2009年2月4日水曜日

Evernote


メモをとったり,アイデアを練るのに紙copiを使っていたけれど,Evernoteに乗り換えるようかな.紙copiNetは,ファイルをダウンロードしてバックアップをとれないのが難点.

・紙Copiを使ってた理由がEvernoteにも備わっている.
 ノートを選択してすぐに書き出せる.
 最初の一行目をタイトルにしてくれる.
 保存も気にしなくて良い.
 Serverとの同期は意識的にやった方がよさそうだけど.それでも定期的に同期してくれる.

・太字,斜体,箇条書きだの視認性がよくなる編集ツールが一通りある.
 表はMacだけか!?

・印刷設定からPDFとして保存も出来る.
 Macなら標準で出来るし,WindowosでもPDF作成ソフトがあればできる.エクスポートすると*.enexというオリジナルのファイル形式なのだけど,実質PDFに保存できるので,レジュメとか研究資料作成にも便利.

Notebook毎に保存先をLocal onlyに変更することが可能研究のメモにも使える.
 基本的には,メモはServerに保存されるのだけど,自分のPCだけに保存することも出来る.ただし,Notebookを新規作成する時のみに設定可能.

・図の貼り付けも簡単.(個人的にはこれが一番嬉しい)
 JPEGファイルもドラッグ&ドロップで貼り付けられるし,Matlabで作ったFigureをAlt+Printscreenでコピーして貼り付けるのも出来る.これが,Wikiのようにファイルをエクスプローラから選択して,アップロードして,..とかになるとけっこう面倒.
 論文とか原稿にする図はちゃんとepsファイルとして保存しているのだけれど,普段簡単に見るのには不便でした.これまではepsと簡易プレビュー用にpngの2つのファイルを作っていて,めんどくさかった.なにより,図にコメントをつけておけないので,後で見てもわからないことも.
 最近はパワーポイントにAlt+Printscreenで図をコピーしてはりつけて,メモをとっていたけど,Evernoteで同じ事ができる.Evernoteは,ファイル管理しやすいので,こちらに軍配.

・ToDoリストが便利かもしれない.
 各ノートにチェックボックスをいれられる.
 それでもって,AttributesのContainsを開くとにTo-do items,Unfinished To-do items,Finished To-do itemsがあって,チェックボックスが記載されているノートを一覧表示してくれる.
 Unfinished To-do itemsをクリックすれば,各ノートにバラバラにTo-doを書いておいても,見忘れたりしないかもしれない.

・その他
 ・Webアプリもあるけれど,普段はクライアントアプリを起動して同期をとる方が使いやすい.クライアントアプリをインストールしておけば,オフラインでも使用できるし.
 ・起動が速い.
 ・Webをクリップしておく人には,そちらでも使い道がある.
 ・一応,月にアップロードできる容量は決められている.

不便なのは,
 ・日本語を編集時に,他のアプリケーションでは変換中に出てくる下線がないので,混乱する.
 ・Windowsのインターフェースにもうちょい自由度があれば.Macでは使える3カラム表示がほしい.
 

Creative Commons

 
基本的に物はすべて共有物だと思っています.今回は著作物だけの話しですけど,本とか音楽とか著作物に価格がついてしまうのは副次的に著作物の価値ともとれますが,第一義には市場に流通させる手段です.みんなに知れ渡った方が共有財産としての著作物に価値がうまれるからです(別に著作物に限らず,市場経済ってそういうものだと思います).著作者が著作物に時間をかけていて,著作者も生活者なので,生活できる程度に著作権ってのをつくって保護しましょうってことですよね.

で,コピー技術のおかげで潤っている業界ありますね.一部の人達は過剰に収入を得ている気がするんですよね.特に,音楽とか映画とか.著作者本人よりも著作物を管理している人達が盛んに著作権を叫んでいるような業界.そんな人達はYoutubeなんかは目の敵なわけですが,...

角川が共有サイトの「違法アニメ」を収益化 基準満たせば「公認」

角川,強かです.こういう強かさは好きだな.相手を制約することなく,相手を利用してやるっていう強かさ.イギリスのコメディ番組もこんなメッセージとともにYoutubeにチャンネルをもつようになったみたいです.
「(途中略)
君らが投稿していたクソみたいな品質の動画のことは忘れたまえ。代わりに、我々が本物を提供する。コレクションの中から高品質な動画を直接お届けする。

そして、人気のある動画をどんどん新しい高品質バージョンに置き換えていく。もちろんすべて無料で提供する。どうだ!
(以下略)」
モンティ・パイソン、YouTube上にて無料でコントを公開

著作権者の権利は無限じゃないし,コピー技術で恩恵を受けておいて一方では他の人にはコピーするなと強硬に言われると素直に聞き入れたくない.
 

2009年2月2日月曜日

まめまき前夜

 
なんだか京大のあたりが見たことないくらいに人混みで,

何かと思ったら吉田神社が節分のお祭りだとか.

節分ってこんな盛大にやるものだったか!?
 

 

モデル

Looking for cognition in the structure within the noise.
Johnson A, Fenton AA, Kentros C, Redish AD.
Trends Cogn Sci. 2009 Jan 7.


上の論文で,神経活動に関する研究が,符号化研究,復号化研究,生成モデル研究に分けらて,生成モデルを考えることが重要だとか.この方たちが言っている,符号化研究,復号化研究,生成モデル研究ってのをたたき台に自分が考えていることを整理.今回はこの論文の要約というわけではないので悪しからず.

まず実験では,感覚刺激,被験者・被験動物の行動,神経活動の3つが観測できる.

符号化研究では,感覚刺激もしくは行動と神経活動が,時間的に相関しているかを見ている.ウェスリー・C. サモンという人が,「統計的関連性を調べ,因果的説明を加えるという手続きをとること」が科学的説明だと言ったらしい.この言説の何が新しいかと言いうと,あたりまえに聞こえるけれど,因果的説明,つまり原因をつきとめることが科学だといったわけ.この手続きでいくと,符号化研究は統計的関連性を調べていることになる※2.相関を調べる研究はたくさん研究されているし,確かに相関がなければその先に研究のしようがないような気はする.大半のfMRI研究もこの類でしょう.

 ##

復号化研究では,神経活動から感覚刺激もしくは行動が復号化する.復号化できたとすれば,その神経活動に少なくとも復号化できただけの情報量が存在することを示している(情報が存在することの十分条件になる).これは,符号化研究よりは情報が存在していることを強く言える.

復号化研究で課題となる技術を考えると,まず1つ目が,復号器(デコーダー)の作成.
電気生理学の分野だと神経細胞に刺激を与えて,例えば電気刺激をして活性化させたり,逆に冷却して鈍らせたりする.動物なので,直接神経細胞に刺激を与えることが出来て,ある領野の神経細胞を電気刺激したら,動物の眼球が実際に動いたりということが検証できる.つまり,脳に備わっているデコーダーをそのままに利用できるのでデコーダーを作成する必要がないのだけど,人の場合はそうもいかない.技術的,倫理的に問題があるから,ある領野に電気刺激をして見えた画像を報告してもらうわけにはいかない(TMSという方法はあるが,簡単のためその話しはどこかへ置いておく).なので,人で復号化研究をするならば,デコーダーを作成して,計測した神経活動から感覚刺激を再現しなくちゃいけない.めんどくさい.ただ,どんなイビツなデコーダーだとしても復号化さえできれば復号化できた程度には情報表現がそこにあることになるから,強力な武器だ.

で,仮にデコーダーがうまく作成できたとして,脳の情報表現の話しなので,情報表現がどんなモデルになっているか考えなくちゃいけない※3.視覚の表象がJPEG方式かどうかを研究するのは,JPEGモデルがなけりゃできない.ちなみにモデルを考えるときのヒントの1つは計算論.どんな最適性が必要で脳が計算しているか考える.画像を思い出すことに最適性をおけば
PCA(Principal Component Analysis,主成分分析)で,画像を区別することに最適性を置けばLDA(linear discriminant analysis,線形判別分析)だとか(←あくまで例え)そんなことを考える.もう1つは,脳というハードウェアの制約.つまりその表現をニューラルネットワークで表現できるかとか考える.ニューロンの発火特性などもヒントになるかもしれない.

 そして,脳の情報表現モデルの仮説がたって,それを実験的に検証しようとする.例えば画像は形や色などなど高次元の情報を持つことになる.仮に脳の情報表現を知っていたとしても,それを検証実験するためには多変量解析が必要になる.動画なんてなったら,多変量に時間発展まで入ってくる.質点の動きだったら,位置,速さ,方向なんていう程度の次元ですんでいたが,大抵の情報は高次元だ.画像の情報表現が高次元であると同時に,とうぜん脳も集合的符号化(Population code)されているだろうから,高次元と高次元の情報の変換を考えなくちゃいけない.

(実際,デコーダー作成,情報表現のモデル作成,実験検証が順にできるわけでなく,各工程をいったりきたり試行錯誤するわけですけど.)

 復号化するのは結構ハードルが高いと思うのだけど,復号化技術を使えば,統制のとれていない刺激をつかって,例えば散歩しながら脳活動を計れたとして,ある領野から散歩しているときに見える画像がデコードできればその領野では見ている画像が表現されていると言っていい.統制がとれていない刺激でも実験はできるのかなと思う※4.

 ##

生成モデル...
Johonsonらは,符号化研究,復号化研究だけでなく,さらにある神経活動(情報)がどのように生成されるか,生成モデルを用いて予測すること(当然,「モデル」がなきゃ予測できない)が有用だと言ってます.ここで有用と言っているのは,この人達は,ニューロンに含まれるノイズをどのように扱うかという文脈で言っていて,一見するとノイズのように見えけど刺激を反映している信号は生成モデルを用いると区別できるでしょ,ということ言っています.この文脈でなくても,対象としている神経活動を活動を理解するためには低次からの入力や高次からのフィードバックなどなど回路(Network)を考える必要があるし,領野毎に独立に機能しているわけじゃないのは自明なのだから回路のモデルは必要.回路を考えなければ,環境との双方向的な機能は考えられないし.

もちろん,回路を調べることが難しいのはわかる.眼球運動の研究で閉回路系の実験は,フィードバックの実験統制をとるのが難しかったりするので,厳密性に欠けるとして嫌がる人もいるみたいですし.なので,やはり反射系など開回路系の方が研究しやすいといえば研究しやすい.開回路だと回路とはいっても回っていない回路.僕はその点はいい加減でも進める質なので,閉回路にしてある程度の実験統制で研究して,分かったことをもとに実験統制を強めていくということでもいいと思っています.徐々に囲みを小さくして精密さを高めていくというか,らせん階段状に発展していくというか,そんな感じでも良いと.

脱線しましたが,Johonsonらは生成モデルを使って,予測することで科学的検証を試みようということのようですが,予測は科学的検証になるのですかね※5?演繹で話しを進めていくことが科学ゲームのルールだと思っいます※6.サッカーで手を使っちゃいけないくらい根本的なルールかなと,例外はキーパーくらいで.なので,「このモデルだ」って言いたければ適当に対立するモデルを持ってきて仮説検定をする以外には示しようがない.本当はモデルは無限に考えられて,無限個のモデルと比較するのは無理だから,考えられる範囲のモデルと比較して進んでいくしかないと思っているのですが,どうなんでしょう.

以前,思いつき的にデータ同化が良いんじゃないか!?と書いたことがあったのですが,今では,あの時直感したほど有用ではないなぁという気がしています.データを逐次更新して,モデルパラメータをフィッティングしていくだけかなと.ただ,短期と長期のトレンドがあるようなダイナミクスを持つモデルの場合,データ同化で逐次更新していき,後から実験では観測できないパラメータの時系列を観察したら新しいことが分かるかもしれない,というような使い方はできるかと思っています.

どうまとめていいか分からなくなってきたのですが,冒頭の論文の生成モデルのくだりはアタリマエのことなんじゃないかと思う,という結論.アタリマエでも,やっている人は多くはないと思いますけどね.それと,神経科学において,全脳計測実験技術(fMRIとか多細胞計測とか)と情報学的素養(多変量解析とか確率的な制御回路理論とか)は使えるので,使います,と自分の研究方針を確認して,おわり.

あ,あと,前にも書いたけど,やはり脳という対象は方法論とかいろいろ考えなくちゃいけないから,おもしろいと思う.


※1.
何が科学的説明かってのは難しい.
カール・ヘンペル(Carl Gustav Hempel)らは演繹的法則的モデル(DNモデル,被服法則モデル)という科学的説明のモデルを提案したのだけど,2つの事象は無関係なのに論理的に正しければ科学的説明となったり,明らかにおかしい点がいくつかある.

※2
ホントは,相関しか調べてない,という事を強調したい.

※3
神経活動の生成モデルは,言ってみればネットワークのモデルが必要だと言っているのだと思うのだけれど,モデルはネットワークのモデルだけでなくて,情報表現自体のモデルだって必要だ.モデルは到るところの水準で必要で,これまでの研究だって,モデルと言えないほど簡単な情報表現のモデルだから,自然言語ですまされきただけだと思っている.
 例えば,質点の動きだけなら,古典物理で扱われている位置,速さ,方向(速さと方向を合わせたら速度)という表現が,世界を表現するに(たぶん)最適な表現になっていて,脳でもそういう表現があるかといわれたら,位置,速度が発火率で表現されていることが知られている.脳も古典物理で使われる表現で表象されていそうってことがわかる.方向に相関のある神経活動なんかもたくさん調べられてきた.位置,速さ,方向も動きの情報表現のモデル.アタリマエで単純なだけでモデルは必要だったわけ.一方で画像の表現についてはいくつも考えられるし,数理的に単純じゃないので理論家が必要になったり,モデルが意識される.
 視覚認知に比べると,地味なのだけれど眼球運動研究では神経回路モデルが古くから考えられていたし,実験検証できる範囲でモデルの検証はされてきている.ここで生成モデルとことさらいうことのほどなのだろうか.

※4
ただ,刺激に関係する領野がどこであるかまでを同時に探すのは結構大変な気がする.散歩しているときには様々な刺激が同時に入力されるわけで,刺激同士にも相関があって,複数の領野が同期的に活動しているのだろうから,根本的に分離できないことが大半だと思う.情報表現モデルの検証をするのに,デコーダー作成,領野探索が同時に入ってきては,まぁ,不可能かなぁ.ある程度,特定の領野に特定の情報が存在することがわかっているときだけなら.

※5
予測モデル(予測に最適なモデル)は生成モデル(真のモデル)に一致しないのですが...

※6
「仮説Hが正しいならばPである.実験結果はPであるからHである.」
これは間違った演繹であり,帰納が含まれているので,このような形で検証できない.
「仮説HならばPである.PではないのでHではない.」
こちらが正しい演繹.仮説検定.
cf.
「仮説検定型」(hypothesis-driven)研究の是非:Yes/Noが言えれば全ては丸く収まるのか
@ 大脳洋航海記




cf.
「ノイズ」の中の脳機能 @ The Swingy Brain
ビジョン,デビッド・マー著
科学哲学の冒険,戸田山和久著
 

2009年1月28日水曜日

Gmailがまたまた良くなった


 



Gmailがオフラインで使用可能に!

Offline Gmailがすごいのは「操作までキャッシュに保存する」こと

前にも「Gmailがまた良くなった」を書きましたが,Gmailがまたまた良くなりました.これ,決定的!まだ僕のアカウントではこの機能を使えないようですが,楽しみ!!

いまでは事務的な事はすべてメール内にあるといってもいい.書式とか以前に提出したのを参考にする時は,HDDにも保存されているけれど,メールで検索して見ることがほとんど.オフラインでもそれができるのは,うれしい.

あと,一番恩恵を受けると思うのは,接続が不安定な時に使うFlaky connection mode.大学にいても,通信が不安定なことはちょくちょくあるので,これには期待大.

いや,メールでのコミュニケーションってのは恨みこそあれ好きではない,ホントは.でもガジェット(Gadget)としては楽しいんですよね.奇天烈な文房具とかも好きなので,そんな感じです.
 

2009年1月26日月曜日

きたい

今週は研究作業が進められる気がする.

論文.
Nature Reviews Neuroscience 10, 82 (February 2009)
Spatial coding: Neurons know the limit
Leonie Welberg


Nature Reviews Neuroscience 10, 113-125 (February 2009)
State-dependent computations: spatiotemporal processing in cortical networks
Dean V. Buonomano1 & Wolfgang Maass


A Probabilistic Interpretation of Canonical Correlation Analysis
Francis R. Bach,Michael I. Jordan

 

【論文】対特徴注意は視覚のフィードフォワード情報処理を変調させる

Feature-based attention modulates feedforward visual processing
Weiwei Zhang & Steven J Luck
Nature Neuroscience 12, 24 - 25 (2008)


空間的注意とは独立に,対特徴注意のフィードフォワード情報処理を反映しているだろう活動を観測でき,またその活動は注意を向ける特徴が競合(同時に出現)している時にのみ起きている.実験で使用した視覚刺激がSupplementary Videoに置いてありますが,見てみると結構難しい.これが検出できるくらい集中(注意)してやらないとできないのですね.


Figure1
1つ目の実験として,固視点の左側に緑と赤のランダムドットを同時に表示し,被験者は赤色に注意を向けて輝度低下を検出する(cf.Figure 1a Experiment 1a 1b).また,背景を灰色にし,視覚刺激のコントラストを小さくした場合と,背景を黒にしコントラストを大きくした場合の2つのconditionを行っている.固視点の右側には探針刺激として,赤もしくは緑のランダムドットが断続的に現れる(探針刺激が現れた時の脳波を解析する).

2つ目の実験として,左側に出す赤と緑のランダムドットを交互にだし,刺激が競合しないようにしている.

被験者はランダムドットの特徴(色)に注意を向ける.空間的には固視点の左側に注意を向け,探針刺激は右側に出るので,空間的注意を分離し対特徴注意に関して調べることの出来る実験課題になっている.

Figure 2
1つ目の実験で,コントラストが低い場合,高い場合ともに,早い時間(110-160ms,80ms-130ms)で注意していた方(赤)で高い活動が現れている.
一方で,2つ目の実験,刺激の競合がない時では,差がない.

繰り返しですが,空間的注意とは独立に,対特徴注意のフィードフォワード情報処理を反映しているだろう活動を観測でき(cf.Figure 2 a,b),またその活動は注意を向ける特徴が競合(同時に出現)している時にしか起きない(cf. Figure 2 a, b, c).
 

【論文】温度(変化)を使って鳴禽(メイキン)の運動回路にあるダイナミクス(の表象)を解析する

Using temperature to analyse temporal dynamics in the songbird motor pathway.
Long MA, Fee MS.
Nature. 2008 Nov 13;456(7219):189-94.


概要
鳥のHVC(ヒトの高次運動野と相同する領野)を冷やして活動を低下させ,その時の鳥の歌声の準音節,音節,モチーフの3つの系列長(timescales)で調べると,すべての系列長で音の構成は保たれたまま系列が伸張(ゆっくりと)していたという話.一方でHVCからの投射がある運動核RAを冷やしても,変化は見られなかった.これまで,異なる時間長毎に歌声のダイナミクスが制御されていることも考えられていたが,そうではなく,HVCがすべて時間長について制御しているのではないか,またドミノ連鎖的(domino-like chain)に歌声のダイナミクスを制御しているのではないかという論文.ここで「ドミノ」連鎖的とは,音要素(準音節,音節,etc)の離散系列のダイナミクスであることを表している,たぶん.

(Dynamicsにtemporalという意味は含まれているように思うのだけど,どうなのだろう.今回の場合,側頭という意味でもないだろうし.でもtemporal dynamics という言葉が検索でけっこうな数ヒットする.)


Figure 1
a.ペルチェ素子(Peltier device,冷却素子)でHVCを冷却している.またHVC,RAと間脳のUvaなど神経経路を表示.
b.ペルチェ素子に電流を流したときの,HVCの温度変化.白丸が電流の流し始め(onset),黒丸が停止(offset).
c.HVCとペルチェ素子の距離0.5,2,4 mmにした時の,電流とHVC温度変化のグラフ.実験では0.5 mmの条件を用いてHVCを冷却している.
d.この実験で主となる結果.9つの歌声系列が示されいて,上から電流を0.5,0,-0.25,-0.50,-0.75,-1.00,-1.25,-1.50 A流したときの結果.一番下は0 Aの系列を人工的に382%(1つ上の-1.50Aの系列の伸張分と同じだけ)だけ延ばし系列.HVCを冷却すると歌声の系列が,伸張していることがわかる.
e.温度変化と系列伸張度(Dilation)の関係.実験を行った10羽について.赤線はdのデータとして挙げたNo.3の鳥について.
d.eの結果の平均を出した図.


Figure 2
a.b.c.準音節,音節,モチーフの3つの系列長で温度変化と伸張度を表したグラフ.どれも温度低下で伸張していることがわかる.
d.abcの結果から,1度冷却する毎の伸張度をヒストグラムで表示したグラフ.どれも伸張しているのがわかる.
e.f.
このグラフに関わる考察は,Supplementaryも参照しないとわからない込み入った議論になっていて,音節時間,音節開始間隔,モチーフ開始間隔,無音時間について議論している.特筆しておくのは,無音時間もHVC冷却で伸張していると言うこと.それと前の音節が引き金となって次の音節が続いていくのではないかということで,これが議論でドミノ連鎖的(domino-like chain)に系列制御されているのではないかと言及につながっている.


Figure 3
運動核であるRAを冷却して音響系列に変化がないことを示している.
a.解剖図とペルチェ素子の挿入具合.
b.RAを冷却するととHVCも若干冷却されてしまう.cのグラフを,この結果をもとにHVC冷却効果を補正し,eの結果を出している.
c.HVC冷却効果の補正前,電流を流すと若干伸張している.
d.Figure 1.fにRA伸張の結果を重ね合わせた図.
e.cからHVC冷却効果考慮して補正(取り除く)した結果.冷却しても伸張度に変化がない.
d.伸張度のヒストグラム.同様に伸張していないことがわかる.


Figure 4.
RAはHVCからの投射があるのに,Figure 3のように音響系列に変化がない様子をニューロン計測をして観察した結果.温度変化とともに持続性の発火率は減少するのだが(図abc),バースト発火は温度変化にはよらず一定であり(図d),RAがHVCからの入力に頑健に反応していることがわかる.
a.はRAを冷却した時のニューロン発火活動をしめしていて,b.は1Aで冷却した時に冷却開始時を境に発火率が小さくなっている様子,c.も同様に冷却と発火頻度の関係を示した図.


Figure 5
脳の左右で伸張する音響系列の要素(準音節)が異なることを示している.dは左を冷却した時でBという準音節を伸張しているがAの要素には影響ない,逆にeは右を冷却した時だがAは伸張しBは変化がない.HVCの1つのニューロがすべての音系列要素の伸張にかかわっているわけではなく,集団符号化(Population coding)しているという結果.

Supplementaryの最後の図に1つのモデルとして提案されているが,HVCが系列を制御し,音節の区切りなどで適宜左右間で同調を行い,Uva,RA,DMとも通信を行っているというモデルを挙げている.
 

2009年1月24日土曜日

ハダカノ王様

 
The Invisible Rope: Holiday Video



2分以降のあたり,デパートの通路でのみんなのリアクションが楽しい.裸の王様,王様もみんなも裸であることを知っててなおそれを楽しめるなら,見てても楽し.
 

2009年1月23日金曜日

アブストだけ読んだり,タイトルだけ読んだり,読みっぱなしだったり.


アブストだけ読んだ論文.
 
神経科学の論文ではないけれど,おもしろそうだったので
Indirect reciprocity provides only a narrow margin of efficiency for costly punishment
Hisashi Ohtsuki, Yoh Iwasa & Martin A. Nowak
Nature 457, 79-82 (1 January 2009)
人間社会で,非協力的な人に懲罰が与えらるような環境では(当然!?)利他的行動が促進されるのだけど,懲罰を与えること自体がコストである(懲罰を与える側にもコストがかかる)とすると,協力関係が促進されないってことをゲーム理論をもちいて検討したらしい.結果から言うと,協力関係の促進は狭いパラメータ範囲でのみおきていて,間接互恵性(情けは人のためならず,まわりまわって自分に利益がくるということ)が効率的になる(直接的になる,つまりすぐに自分に見返りを求めるようになる!?)ので,たいていの場合はコストを伴うと懲罰では協力関係を促進しようとすることは非効率,ということらしい.自分の経験と照らし合わせても,そうだろうなと思える.

今度は量子力学.
Squeezing and over-squeezing of triphotons
L. K. Shalm, R. B. A. Adamson & A. M. Steinberg.
Nature 457, 67-70 (1 January 2009)
量子力学では,観測に不確定性が生じるのだけど,位置と運動量の対のように相補的な間では等しく分配されるのだけど,スクイージング(squeezing)を行うと,一方の観測の不確定性を大きくする代わりに,もう一方の不確定性を小さくすることができるとか!
 知識がないので,何を言っているのか全然わからないけれど,すごそうな気がする.不確定性という言葉にヒカレル.

Emergence of complex cell properties by learning to generalize in natural scenes
Yan Karklin & Michael S. Lewicki.
Nature 457, 83-86 (1 January 2009)
視覚のモデル研究.画像の統計量の変動をニューロン活動が符号化して,...
 アブスト読んだだけでは見当つかなかったので,ちゃんと読む.

Anticipatory haemodynamic signals in sensory cortex not predicted by local neuronal activity
Yevgeniy B. Sirotin & Aniruddha Das
Nature 457, 475-479 (22 January 2008)
fMRIは血流変化を計測していることになるのだけど,それをもって脳活動計測と読んでいるのは血流変化がニューロン活動に関係すると考えられているから.この研究では,サルを使って,ニューロン活動の直接計測とfMRI計測を同時にしたら,先ほど述べた前提(仮定)だけでは完全には説明できない現象があって,一部のfMRI信号がニューロン活動と無関係であると.これから活動するだろうってところで,血流の増加が見られたとか.
 fMRIで行動の数秒前に活動(血流変化)が起こるっていう研究がいくつかあるが,この現象なのか??fMRI研究の再考をもとめる結果でもあります.

fMRI研究に問題を投げかけると言えば,すでにいろいろと取り上げられていますが,
Response to “Voodoo Correlations in Social Neuroscience” by Vul et al. - summary information for the press(PDF)
cf.
・Brain imaging studies under fire(nature news)
・脳のイメージング研究が炎上中(5号館のつぶやき)
・神経社会学のfMRI研究における魔術のような相関(追記あり)(大「脳」洋航海記)
・Ed Vulへの反駁と再批判:早合点されているようだが、これは手法への批判であって神経社会学そのものへの批判ではない(大「脳」洋航海記)

Visual image reconstruction from human brain activity using a combination of multiscale local image decoders.
Miyawaki Y, Uchida H, Yamashita O, Sato MA, Morito Y, Tanabe HC, Sadato N, Kamitani Y.
Neuron. 2008 Dec 10;60(5):

ATRの宮脇さん,内田くんらの論文.
ちなみに,この号のNeuronの表紙にもなっていて,モノグラムがルイ・ヴィトンみたいでかっこいい.


タイトルだけ読んでおもしろいかもと思った論文
J Neurosci. 2009 Jan 7;29(1):169-78.
Dynamic changes in brain activity during prism adaptation.
Luauté J, Schwartz S, Rossetti Y, Spiridon M, Rode G, Boisson D, Vuilleumier P.

J Neurosci. 2009 Jan 14;29(2):301-2.
Perception of facial expression in somatosensory cortex supports simulationist models.
Hussey E, Safford A.

J Neurosci. 2009 Jan 14;29(2):436-43.
Differential effect of reward and punishment on procedural learning.
Wächter T, Lungu OV, Liu T, Willingham DT, Ashe J.


読みっぱなしで,早く整理したい論文.
J Neurosci. 2008 Oct 15;28(42)
The native coordinate system of spatial attention is retinotopic.
Golomb JD, Chun MM, Mazer JA.

Nat Neurosci. 2009 Jan;12(1):24-5.
Feature-based attention modulates feedforward visual processing.
Zhang W, Luck SJ.

Neuron. 2008 Oct 9;60(1):162-73.
Context-dependent changes in functional circuitry in visual area MT.
Cohen MR, Newsome WT.

Nature. 2008 Nov 13;456(7219):189-94.
Using temperature to analyse temporal dynamics in the songbird motor pathway.
Long MA, Fee MS.
これはおもしろかった.鳥の歌の研究です,脳内で時系列がどうやって表現されているかのヒントになりそう.


明日は(今日は),1日実習です.