2009年9月10日木曜日

科学報道

Nature Digestに科学ジャーナリズムについて記事がいくつかまとめられて載っていました(過去のNature記事をまとめている雑誌なので).このページは日本語での翻訳もされているので,日本語で読んでみた.

・科学ジャーナリストはチアリーダーか監視役か(PDF)
 Cheerleader or watchdog?

科学ジャーナリズムの「聖職者モデル」を超えて(PDF)
 Science journalism: Toppling the priesthood

科学ジャーナリズムの歴史的変遷 (PDF)
 Science journalism: Too close for comfort

盛り上がるアラブ世界の科学ジャーナリズム (PDF)
 Science journalism: The Arab boom


特に2つ目の記事がおもしろかったです.
ここで聖職者というのは,科学者の言葉をに科学者以外の多くの人に伝えるための翻訳者という意味.ジャーナリストは多様な分野を追跡しなくてはいけないから,その研究の位置づけの把握や批評などまでは手が回らなくて,最低限の仕事,つまりプレスリリースの複製ですませてしまう状況になっているというのを表現しています.

その解決策の一つとして,科学的な知見が世に出る過程を見せたらいいと言ってます.(ちなみに,僕は「世に出る」と書きましたが,日本語本文では「作り上げられる」,元の英文でも「Crafting knowledge」とか「... of how scientific knowledge is crafted」と表現されています.僕は気にとめない表現だけど,気にする人いますよね,きっと.このへんコワイので表現を変えてみた.)
「この問題に取り組む1 つの方法として考えられることは、論文の最終稿とともに、匿名査読者のコメントをジャーナリストに閲覧させることである。」
これは確かに良いなと思った.ジャーナリストだけでなくて,その分野の初学者にも有益かなと思った.これまでも論文のIntroとDiscussionを読むことでその研究の課題や位置づけは一応分かるのだけれど,査読者のコメントを載せれば,さらに付加的な情報となりそうです.逆に混乱するかな.

ともあれ,ジャーナリストなら科学者のコミュニティーとは独立に批評できる規準が持てるようじゃないとダメですよね.Nature essayでジャーナリストが査読コメントを公開しろと要求した!?のはおもしろいなと思いました.Biology Directなど一部ではすでに査読者のコメントも載せているとか.


3つ目にある記事もおもしろかったです.科学記事のもつ影響が変容するとともに科学ジャーナリストに要求される事も変わってきている様子が書かれています.

それとジャーナリズムの話しではないけれど,会議に参加して聞いた内容をWebにアップしてしまう行為についての記事もありました.これは無料公開記事になっているようです(アカウントの登録は必要かも).
ブログは学会・国際会議の敵か?(PDF)
 

2 件のコメント:

atsu-kan さんのコメント...

統計系の雑誌では,
1. 論文本体,
2. "Discussion"というタイトルで複数の研究者によるコメント,
3. "Rejoinder"というタイトルで,コメントに対する著者の返答
の3つを一度に掲載することがあります.常に2., 3.が掲載されるわけでなく,基準は知りませんが,おそらく査読者の推薦で重要とされた論文のみを対象にやってるのだと思います.
たとえば
Efron et al., "Least angle regression (with discussion)," Ann. Stat., 2004. [pdf]
は全長の半分くらいがdiscussionです.
ほかには,ご存知だと思いますが,最近のオンラインジャーナルではコメントをウェブ上で書き込めるものもありますね.

Shika さんのコメント...

Discussion,Rejoinder,知りませんでした...

でもよく考えてみると,神経科学でもComments and Controversiesなどのページが用意されているや.

重要な論文には,別の著者がレビューした論文が同じ号に載っているしね.
 
「科学ジャーナリズムの「聖職者モデル」を超えて」で議論されているのは,もっと多くの論文に適用されればイイという話しかな.