2011年12月30日金曜日

知覚学習は,視覚刺激の提示なしでも,fMRI 脳活動をデコードし,ニューロフィードバックすることで引起こされる. Shibata et al. 2011

 

NewImage

今回紹介する論文のような,新しい方法をとりいれると研究が進展していくのだと思います.ひとくちに科学と言っても,分野によっていろいろな科学のあり方があって良いと思うのですが,採用する方法がその分野の科学を特徴づけるのは間違いないです ※1.

ということで,この科学の住人なので,自分の考え整理してみる.

Shibata et al. 2011.
Perceptual Learning Incepted by Decoded fMRI Neurofeedback Without Stimulus Presentation.
Scienc 334 (6061):1413–1415.


この研究の主な論点は下記の2つです.

1.fMRI ニューロフィードバック による因果性
2.傾きの知覚学習は,V1/V2が関与している

まず1つ目の因果性について

自然現象の因果性にせまろうとする場合,対象に介入する必要があります.脳の研究ならば,まさしく脳の活動に介入する必要があります.例えば,動物実験などで神経細胞に電気刺激をして脳活動を起こすような方法です.


少し脱線しますが,脳で難しいのはいたるところで結合があることです。一部の領野を刺激したつもりでも方法によっては、他の領野も刺激されていたり,情報が伝達されている場合があります。例えば,O'Doherty, et.al., 2011. Active tactile exploration using a brain-machine-brain interface. Nature. では猿の感覚野を刺激して、触覚に基づいたらしき課題を行わせてます.ただ,刺激した感覚野から他の領野へ刺激が伝わっているかもしれないので,本当に猿が触覚に基づいて判断しているかはわかりません.

今回紹介する論文に戻ります.研究のプロトコルは順に

  1. Pre-test stage:被験者の知覚判別能力を行動指標によって計測する.
  2. Decoder construction stage:脳活動データを計測し,Decoder(翻訳機)の学習を行い,視覚刺激を見ている時の脳活動パターンを特定する.
  3. Induction stage:視覚刺激提示によるニューロフィードバックを行い,被験者にV1/V2の脳活動を制御させる.
    1. 提示する視覚刺激は1,2で用いたのとは異なり,さらに提示した刺激では知覚学習は進まない
    2. 被験者は,後頭葉の脳活動をもとにしたフィードバックがある事は知っているが,後頭葉が視覚に関わる領野だったり,最初に行った知覚判別にかかわる領野である知識は持っていない ※2
    3. フィードバックは,2で特定した脳活動パターンに類似性が高ければ大きな円が表示され,被験者は円が大きくなるようにする.脳活動結果のグラフで指標とされている Likelihood(尤度) はこの類似性です(尤度を類似性と言いかえた深い意味はなし.尤度という言葉は情報科学の人以外にはなじみがないと思って.ちなみに,尤度が何を算出したモノなのか詳しくはわかりません).
  4. Post-test stage:ニューロフィードバック実験終了後に,再度1と同じ実験課題を用いて,知覚判別能力を計測する.
    1. 1の時の比較して,知覚判別能力が向上していた.つまり知覚学習があった.

対象とする知覚学習に関係しない視覚刺激提示でニューロフィードバック(Decoding neuro feedback)を行って脳活動を操作した結果,知覚(厳密には知覚にもとづく行動)に変化(学習)があることを示しました.この事より,視覚刺激の入力がなくても,脳活動を変化によって知覚を変化させることができる,という結論を得られました.

簡単に「によって」と書きましたが,今回の方法は電気刺激をするように脳活動自体に直接介入したのと同じと考えられるので,「得られた結論は,相関するというだけでなく,因果性がある」と言及できる方法です.さきほどのをもっと明示的に書くと,「脳活動の変化が原因で知覚学習は生じた」と言えるわけです.

ヒトのfMRI研究で,もしくは健常者で脳の情報処理について因果性に言及しようとすると,不可能と言いたいくらいに難しいので,画期的な事です.fMRIを使わなければTMS という方法を使ったり,健常者でなければ脳損傷患者に協力してもらうなどの方法で,因果性について言及するという研究が考えられます.

この結論について,ここまでのところでは,

(神経科学では当然ですが)学習は脳のどこかで行われている

という仮定があってはじめて,脳活動の変化によって知覚学習は生じた,と結論できます.上の議論は仮定があって成り立つ事ですから,やはり,その仮定である「知覚学習が行われている脳の領野」を示さないといけない※3 ※4.

この論文は単に方法の提案をしたいわけではありません.論文でも, ”The main purpose of our study was to test whether early visual cortical areas are sufficiently plastic to cause VPL of a specific orientation as a result of mere repetitive inductions of activity patterns corresponding to that orientation. ” と書かれています.そこで次の論点です.

2つめの論点,知覚学習に関与している領域について

1つめの論点で書いた検証だけでは,脳のどこが学習に関与しているかは自明ではありません.簡単に考えると,V1/V2の脳活動をフィードバックして被験者に制御させているのだから,学習自体もV1/V2だろうと結論したくなりますが,それは自明ではありません.


なぜなら,ニューロフィードバックで使った脳活動はV1/V2ですが,V1/V2は他の領野とつながっていて,V1/V2の脳活動は他の領野の活動を引き起こしていると考えられるからです.そして,V1/V2で表現された視覚刺激の情報を他の領野が受け取って,他の領野の脳活動変化によって学習が行われているかもしれないからです.また,Fig. 2 で脳の活動変化の指標となる尤度が学習日数におうじて上昇していますが,他の領野の学習による脳活動変化がV1/V2へ影響しているだけかもしれません ※5.

この研究ではV1/V2の活動変化によって学習が生じた事を検証するために,まず,

V1/V2の脳活動変化と知覚(にもとづく行動変化)に相関があること(Fig. 3E)

を示しています.サンプル1つは被験者1人を表しています(たぶん).

少し脱線しますが,サンプル1つが被験者1人を表す相関図は,fMRI研究でよく使われます.例えば,「領野Aと領野Bのの結合性を示すために使われたりもします.最近気づかせてもらったのですが,被験者1人を1つのサンプルとする相関図だと「領野Aの活動が大きい人は,領野Bでも高い」ということまでしか言えません.もっと単純にいうと,「脳活動が平均的に大きい人や小さい人がいる」というだけです.ほとんど情報はありません.この相関図を出すならば,サンプルは試行にして作るべきです.そうすれば,「領野Aの活動が大きい時には領野B も大きい,Aが小さい時にはBも小さい」と言えて,領野Aと領野Bの活動は同期していそうですし,結合性があると言えるでしょう.行動と脳活動の相関図,感覚刺激と脳活動の相関図でも同様です.

今回の研究の場合,1人の被験者で学習した時としなかった時など複数のサンプルをとることはできないので悩ましいところですが,同じ批判はあると思います.

V1/V2の活動変化によって学習が生じた事の検証として,他に Supplementary のFig. S9 があります.説明を論文の順序と逆にしますが,

Fig. S9 B
まず,fMRI decoder construction 時の脳活動データを用いた場合は,他の領野でもV1/V2と同様の判別率を得られた.このことから,他の領野も,傾きの情報表現は持っていることがわかります(「情報表現を持っている」かについては後述の議論を読んでください).
Fig. S9 A
次に,試行毎に尤度(「ニューロフィードバック時(Induction stage) の V1/V2 脳活動パターン」と「翻訳機学習したV1/V2の脳活動パターン」との類似度,ニューロフィードバックに使っている値) を他の領域の脳活動から予測しました.「コントロールとして」V1/V2の脳活動からの予測もしています.

その結果.尤度は,他の領域の脳活動と比較して,V1/V2でよく予測できています.V1/V2が学習に関わっているという十分条件が示しています.論文には ”the V1/V2 itself as a control” と書かれていますが,どちらかというと他の領域と比較して,V1/V2ではよく予測できたと言うべきところなのでしょう.これが逆になっているのは,「他の領域が学習に関わっていない」と言いたい事の表れかな(ちゃんとフォローできていませんが,著者らによる先行研究から考えると).もちろん,仮説検定で「帰無仮説である」ことを検証できないのと同じ論理で,「他の領域が学習に関わっていない」ことは検証できません ※5.

翻訳機が選択したボクセルは情報を表現しているか?


fMRIの脳活動のデコーディング(翻訳)を用いて,科学的な知見を得たいという試みはたくさんされています.

今回の研究でも,述べられている結論を言うためには,選択されたボクセルが傾きを表現している,ことが必要だとは思います.今回は,multinomial sparse logistic regression(Yamashita et al., 2009)をつかって,3つの傾き刺激をクラス分類しています.....えっと,表現を持っているか,僕にはわかりません ※6.

たとえば,Taget以外の視覚刺激2つを変えて翻訳機を学習させても,Targetについては同じボクセルが選ばれるのだったら,選択されたボクセルは特定の傾きの情報表現をもっていると言って良いのでしょうか.

例えば,Hassabis et al., 2009では,海馬傍回からは2つの部屋についてクラス分類できていて,海馬からは各部屋の位置についてクラス分類できています.つまり,一見,海馬と海馬傍回で階層的な位置表現になっていることを示唆するような内容です.ただ,たぶん著者らこの方法と結果からはそんなことは言えないことをわかっていて,「位置情報は1つのニューロンで表現されるのではなく,集団で表現される」という結論を述べるにとどまっています.

Dosenbach et al. 2010 では,SVR(Support Vector Regression, Support Vector machine for Regression)によるクラス分類で選択された領域が情報表現を持つと仮定して,さらに解析を進めていますが,おそらく間違いでしょう.Fig. 2 以降は間違えている.

一般に分類に最適なボクセルだからといって情報表現を持つとは限りません.前者のHassabis et al., 2009は,情報表現を持つ とは言わずに踏みとどまりましたが,後者の Dosenbach et al. 2010 は情報表現を持っていると解釈して解析を進めました.

SVMは,特徴空間の中で分類境界に近いところのサンプルのみを用いて境界が更新されます.なので,境界から離れたところのサンプルが加わっても境界が変更せず,分類するという点で汎化性はあります.ただ,境界を決めるのに使われているサンプル,つまりクラス分類に有用なボクセルを持ってきても,それは情報表現を持っていないと解釈するのが自然ではないでしょうか.各クラスの特徴を持っている,つまり情報表現をもっているは,境界から離れてクラスの中心にあるボクセルだと思うのです.もしくは,他のクラスから離れたところにあるボクセル.また,致命的なのは,カーネルにより写像変換された特徴空間でクラス分類しているので,どのような特徴空間でクラス分類しているか解釈するのが困難です.

確実なのはクラス分類するのではなく,例えば Miyawaki, Uchida et al., 2008 のように,情報表現のモデルを用いて表現して見せてくれれば,選択されたボクセルの総和として再構成できた程度に情報を持っていると言えるでしょう(Miyawaki, Uchida et al., 2008 でも,局所的な表現としてはクラス分類しています.ただ,それは得られた結果を基底表現として全体を再構成しています).その辺の議論はコチラ

ですから,これを使ってニューロフィードバックを行い.....因果関係を検証するのに,この研究をプロトコルの1つに組み入れなければいけないとなると,目眩がしますねぇ....

最後に,ここまでスクロールしてくれた奇特な方に.次の論文を紹介します.マイナーな雑誌なだけに,あまり知らないと思うので挙げておきます.僕も友人に教えてもらいました.

Boulay, C. B. et al. 2011. Trained modulation of sensorimotor rhythms can affect reaction time. Clinical neurophysiology 122 (9):1820-1826.

今回紹介した論文と方法の点で似たような事が脳波で行われています.この論文では脳活動を抑制することまでも行っています.アイデアはかなり面白いです.ただし,いかんせん荒削りです.ちょっと理解しにくいし,科学として詰め切れていないのがかなり残念な論文.でも,方法のアイデアだけはすごい.

おわり.


※1
採用する方法によっては,ろくな科学にならない.fMRIによる認知科学の研究は,まだまだ科学になるかならないかの瀬戸際なところ.そんな風に感じています.
※2
僕は,被験者が視覚野からフィードバックされていること知っていてもいいように思うんですよね.明示的にガボール図を想像してても,この研究の論理は破綻しないような気がする.視覚刺激の入力がなければ同じだと感じてしまう.でも,それではダメだという人がいるのも想像する.なんでだろう?
※3
ちなみに,この研究では(ほとんどの神経科学者もそう考えていると思いますが),研究で対象となっている知覚学習は特定の領野で行われているだろうという仮定があります.つまり,学習の局在性が仮定されています.領野間での結合性変化によって学習するのなら,また別のことを考える必要はあるかもしれません(←あまりちゃんと考えていないので,本当に別の事を考える必要があるのかはわかりません).
※4
正直に言うと,僕は,脳の情報処理が知りたいだけで,どこの領野で情報処理されているかはどうでもいい,ただ,脳の情報処理である事を言うためには,やはり脳のどこで行われているか(もしくは複数の領野間のネットワークとして実現されている事を示さなければならないわけです.だから,好きでもない実験をやるわけです.実験を考えるのは好きですが,実験するのは大嫌いです.でも,必要だから実験します.
※5
「他の領域が学習に関わっていない」と言ってしまうと,Nieuwenhuis et al, 2011. Erroneous analyses of interactions in neuroscience: a problem of significance. Nature Neuroscience 14 (9):1105–1107 で批判されているリストに挙げられることになります.厳密性だけが科学だとは思いませんが,神経科学は解析などで使われる数理の仮定(制約)を無視する傾向にはあると思います.Nieuwenhuis et al, 2011のTable 1の結果を見てください,ひどすぎ.今回紹介した論文では正確に,”The results of these two offline tests indicate that influences of the neurofeedback on VPL were largely confined to early visual areas such as V1/V2. ” と書かれていて,それ以上の言及はありません.
※6
この議論するには,論文に書いてあるだけの情報でそれは断定できないというのが正直なところです.fMRI研究は,古典的な方法ですら随分と解析が込み入っているわりに,分析方法の記述は多くない.典型的な方法を採用しているにしても,当事者に話を聞くと,結構ヒューリスティックスだらけだったりします.このへん,fMRI研究の信用ならないところです.かといって,事細かく書けといわれたら,あまりに面倒だしな..分析のプログラムコードをSupplementとして挙げとくしか方法はないかなぁ.

 

2011年12月9日金曜日

論文管理アプリケーション Papers の 使い方

これは論文管理アプリPapers 2.1(青い家)のお話しです(赤い家(Papers 1.x)もありました).いまでは,論文以外にも,自分が作成したプレゼン資料や誰かからもらった資料の管理にも使えるようになっています.

Mendeleyには,いろいろと共感するし,応援したくもなるんですが,でもまだ全然使えないなぁという印象.アプリケーションとしては,Papers の方が比べものにならないほど洗練されています.Papers が下火になってほしくないなぁと思ってこれを書きました.

一度,赤い家を使っていた時にも書いたのですけどね.コチラ.Mac を使っている人には,オススメします.79USドルです.学割で40% ディスカウント.30日間は無料なのでとりあえず使ってみてはどうでしょうか? 使ってみれば安いことがわかります.

ちなみに,僕は Mendeleyをちゃんと使った事ないし,有償アプリとしては有名なEndNote も使った事ありません.比較してどちらが良いかというのは正確には分かりません.

 


では,使い方の紹介.



論文検索&書誌情報の取得

Get1 papers一番左側のカラムにある [Search] をクリックして検索画面を開きます.

検索窓でタイトルでも入力して検索すれば,見つかるでしょう.

カンタン!

検索して出てきた論文をダブルクリックすれば,新しいタブが開き,書誌情報のあるWebサイトに飛びます.複数を指定して,一括で取り込むこともできます.後述するTips にある検索トークンを使うとさらにスムーズです.



PDFの取得

Change2 Papers新しく開いたタブには,書誌情報のあるWebサイトが表示されてます.

WebサイトにあるPDFのリンクをクリックすれば,PDFを取得できます(図の左円).

カンタン.

PDF取得後,右下にある紙と地球の図のボタンを使えば,取得PDFとWebサイトの表意を切り替えられます(図び右円).Supplement が欲しい時などは,再度Webサイトにもどって,取得します(次を参照).



SUPPLEMENTARY !!

青い家に移ってきてからこれができるようになりました.これはかなり重宝してます.便利です.最近は Supplement を読まないと,実験方法や解析方法がわからないこと多々ありますよね.

Getsupple4 papers

Web サイトを表示しておいて, Supplement のリンクをクリックすると(上図,左)

・Download PDF as
supplemental data
・Create new paper
for downloaded PDF
・Replace current PDF
with newly
downloaded PDF

と聞かれるので Download PDF as supplemental data を選択.論文PDFとは別途保存される.カンタン.

右のカラムの [Supplements] をクリックすると保存された Supplements が一覧されます(上図,右).ファイルをダブルクリックすればアプリケーションから開きますし,スペースキーを押せばポップアップ表示で簡易的に見られます.

Supplement をいくつでも保存することができます!
movie ファイル とか,いろんな形式のSupplementを保存できます!



Web ブラウザからPapersに取り込みたい!


まず,準備.
こちらのSupport サイトに行きます.

Step 2 の下にある [Open in Papers] をWeb ブラウザの ブックマークバーにドラッグ&ドロップで移動します.

これで準備は終わり.カンタン.

インターネットサーフィンをして,およっ,と思った論文があれば,ブックマークバーにある [Open in Papers]をクリックすればOK.



Pubmed など論文検索サイトでない場合,書誌情報がなくて,自分で書誌情報が入力しないといけないことがあります.その場合は,Papers で検索した方が簡単かもしれません.



さて,取得した論文を読む時は.

Read7 Papers
  • [View]-[Read Full Screen]
  • [Command + Shift + F ]
  • 下側にある [Read Fullscreen] をクリック

上記の方法でどれでもどうぞ.

ノート(右側の円) 画面の下にカーソルもっていくとバーが表示されるので,その一番左をクリックすると,ノートが表示され,書き込めるようになる.
ハイライト(左上の円) 本文中の文字を選択して,右クリックで [Highlight selection]ハイライトになっている文字を右クリックすると [Change Highlight Color] があり,ハイライトの色を変えられます.
キャプション(左上の円2つ目) 適当なところで右クリックし,[Make a note]をクリック.

※ ハイライト,キャプションについてはまだ少し使いにくくて,作成したあとにキャプションの位置などを変更できなかったりします.

僕は,PDF を Adobe acrobat で開いて,acrobat の注釈機能を使ってます.Adobe acrobat で作成した注釈をRead Full screen で読むことはできます.Papersで保存したPDFは [Open PDF with ...] で任意のアプリケーションで開けます.



取得した情報は出力してこそ!

Ref8 Papers


これもPapersの大きな特徴の1つです!カンタンにアウトプット.

  • ショートカットキーを押す(左図が表示).
  • キーワードを入れます.
  • 結果が出るので,選択してEnterを押す.
  • Enterを押したその指で!? 続けてキーワードを入力.
  • 次の検索結果が出てきます.
  • また選択して Enterを押します.

気がすむだけ繰り返し,気がすんだら,

  • 例えば,[ Insert Formatted Reference ] を選択して,Enter を押す.
  • 選択した複数の論文について,書式の整った書誌情報が出力できる.


多くのアプリケーションに対応しています.場合によって,[Insert Formatted Reference] が選択できない時がありますが,[Copy to Clipboard] を選択すればいいだけです.そして, ペースト(貼り付け)!スゴイカンタン!!

これは,プレゼンや報告書などせいぜい10個程度の参考文献ですむ場合に便利です.論文を作成する時などたくさんの参考文献のリストを作りたい時は,Collection (タグに相当)に集めて,一括で出力すれば良いと思います.

RefSet Papers
ショートカットキーの設定や書誌情報の書式などの設定は [Papers]-[Preference ...] を開いて,Manuscripts で行います(右図).

Favorite Styles をプルダウンし,moreを選択すると,たくさんの書式が用意されています.プレビューを見ながら,書式を選択できます.現在(2011 Dec. 09)のところ,1405 の書式があるみたいですね.

Papers を開いて,真ん中のカラムで論文を選択して [右クリック]-[Copy] とかおなじみのショートカットキー Ctrl + C でコピーして貼り付けても,書式が整えられた書誌情報を貼り付けられます.



その他の機能

  • iPhone/iPadと同期.
  • 検索は Pubmed,Google Scholar,Web of Science など多くのデータベースから選択して使えます.単独にもできるし,複数を組み合わせても使える.
  • Keyword
    • タブですね.
  • Collection
    • 左カラムにフォルダのように表示されている Collection も便利です.上記で紹介したKeyword とは違うけどタブに相当します(同じ論文を異なる Collection に入れらます).3種類の Collection があります.
    • Manual Collection: 手動で論文を分類して使う.
    • Smart Collection: 条件を設定しておくと,自動的に分類される.これが便利.
    • LiVfe Collection: 他のPapers ユーザーと議論する時に使う.ダレカト ツカッテミタイ.



Tips


検索トークン(blue search token)

Get1 papers


キーワードを入れたあとにEnterを押すと,ブルーの背景で囲まれ,右側に矢印が出てきます(右図).

矢印をクリックすると,そのワードが 何を表すのか指定できます.トークンを覚えておけば,キーボードから指定して入力することも可能です.

・主なトークン
Title, [ti: ]; Author, [au: ]; 1st Author, [1au: ]; Last Author, [lastau: ]; Soruce or Journal, [so: ];
・複雑な検索方法については コチラ

検索トークンは赤い家(Papers 1.x)の時からあった機能でしたが,青い家が新築された時(Papers2.0)ではなくなっていました.だけど,復活.欲しい論文がある時,タイトルを入れて検索すれば,トークンを使わなくてもだいたいヒットしますが,完璧とは言えなかった.トークンがあれば, 完璧と言っていい.


PDFが取得できない場合は...
URL5 Papers
ご くごくごくごくたまに,検索結果から開いたWebサイトにPDFのリンクがないことがあります.その時は,図の矢印のあたりをダブルクリックすると,URLを直接入力できるます.あらかじめ Webブラウザから Google さんに「****(title, author など) filetype:pdf」とPDFのありかを聞いておいて,そのURLを入力すればOKです.

ちなみに,前述したとおり,Web ブラウザで見ているサイトを Papers で開くブックマークレットもあります


ポップアップで論文内容表示

Tips1 Papers

真ん中のカラム下側に,Cover Flow,Preview,Thumbnails のいずれかで表示できます.が,少し小さかったりします.Cover Flow,Thumbnails では最初のページしか表示されませんしね.

そんな時は,真ん中のカラムで論文を選択しておいて,スペースキーを押すと,ポップアップでPDFが表示されます.ページもスクロールできるし,便利です.上下の矢印キーで次々に論文を選択すれば,ポップアップに他の論文が次々と表示されます.




PS.
Wired が日本でも創刊されて,最近 Vol. 2が発売になっていて,Mendeley が特集されていました.Webでも読めます,こちら.Papersも登場してきます.

科学論文のオンラインデータベースというアイデアには、まったく前例がないわけではない。Zote Ro、Papers、CiteULikeといったオンライン/デスクトップでの研究調査支援サーヴィスはすでに存在している。
WIRED 知のシェア – 学術論文における理論と実践

Mendeleyのやっていることは革命的な事だと思ってます.僕も「そろそろ学術雑誌とかいらないんじゃないの!? 」とは思っていましたが,Mendeley の発展次第では本当にそうなるような気もしています.それくらい凄いと思ってます.

さらに凄いなと思ったのは,Social な機能があって,論文毎にどの分野の人が読んだのか,など読者の情報がわかったり,お互いにコメントをしあったりできるのは面白いなと思いました.かなりマイナーな論文でも読者の統計がでてきます(読んでる人が複数人います).

CiteULike を1年くらいだったか使っていたのですが,CiteULikeでは自分と同じ論文を読んでいる人のリストがでてくるのですが,そのリストを眺めるのは面白かったです.同じ目的で読んでいそうな人もいれば,全く違う文脈で読んでいいそうな人もいた(こういうのは,我々日本とか地理的に不利な国にとって有意義な事だと思います.話題がそれるので,またそれは今度に).

それにしても,Mendeley は登録者が圧倒的におおい.これを書いている時点(2011年12月09日)で1,400,994人の登録,119,482グループがあります.さすがにそれは驚異的です.独占的になったら嫌だなぁと思ったので,Papers を応援する意味で,これを書きました.

Papers にも Pepers Livfe というSocial な機能はあるのですが,自分の持っている Nature,Science 論文を見てもコメントがついているのを見つけられなかった.たぶんSocial な機能を使っている人が少ない.

(UIとしては使いやすいので,研究室のみんなが Papers を使っているのなら,Livfe Collections というグループ機能が便利に利用できるような気がします).

Mendeleyで凄いなと思ったのは,コンセプトとSocial な機能くらいで,アプリはしょぼい...やっている事は応援したいと思わせるので,良いアプリなら乗り換えようと思って3時間くらいいろいろと見ましたが,残念ながらPapersとは比較にならないです.Papersの方が良い.逆にMendeley は無料とはいえ,なんでこんなに人気なのかなぁ.