2009年11月2日月曜日

turtle neck,polo neck,もしくは徳利を着てみようと思うくらいの寒さ.

今日の京都は少し寒いです.全国的に寒いんですかね.

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今日,考えた事.

仮説なしの研究を標榜して,例えば,脳の認知行動レベルでの情報処理について,できるだけ統制をせずに自然な状況を作り出して実験をしたとして,時間的にも空間的にも高解像度の脳活動データを取ったとして,環境(刺激)も高次元データで脳活動や行動も高次元データになるわけですが,何か分かるかと言えば,まず確実におぼろげにしか分からない.科学的に何か言えるかといえば,無いはず.考察はいっぱいできるだろうけど.

なぜなら,不定性(解が一意に決まらないこと)が大きくなるから.自分の分野で良く聞く言葉で言えば,正確な表現ではないと思うけど,実験条件がコンタミ(Contamination)して解析では原理的に切り分けられないから.

実験設計をするときに,
仮説とする脳の情報処理のモデルと,その他のいくつかの考えられるモデルと,の間に十分に差が出る課題を作り出さなかったら,検証できない.

ヒトの脳で,感覚入力からの情報を次元縮約している情報処理過程があるのは自明だと思うけど,それが判別分析しているのか,主成分分析しているのか,独立成分分析しているのか.を確かめるためにはどれか1つのモデルを選んで,計算理論のレベルで選択したモデルが他のモデルと差の出る状況を調べて,実験を作らないと検証できない.

上の3つの次元縮約のアルゴリズムは最適性が違うけど,とはいえ,視覚的に複数個の物体を認識したり,識別するという程度の課題設計だったら,どれでもうまくいく.差は現れないと思う.異なる最適性が差として現れる課題を計算論的に考えて,できるなら解析計算して,少なくとも数値計算はして,実験設計する必要がある.

仮説を立てて,仮説を忘れて,また仮説を立てる,
(実験する前に仮説を立てて,実験・解析するときには仮説を忘れて,解析後にまた仮説を立てる)というのが,実際の研究のプロセスですけど,忘れる仮説だからと言って最初をおざなりにすれば,ろくな実験はできないので,どのプロセスを強調することなく,全てを整然と行うのが研究かなと.

とはいえ,「ヒトが判別分析をしている」と仮説を立てて実験設計をして計測して,データが出てきた後に,やっぱり「ヒトが主成分分析している」と思い直したところで,検証するためには同じ実験設計やデータではダメで,別の実験設計をして計測しなおすのがオチだと思う.なので,やっぱり事前知識(先行研究)からすんごくよく考えた仮説を持っておくのが必要かな.やっぱり,最初に仮説を立てるプロセスを強調しておこうw.

計測しなおさなくても他の仮説が検証できる程度なら,仮説のもっている具体性はそれほどないかもね.

PS.
最近,fMRIデータなどでの脳領野結合解析で使われるDCM(Dynamic Causal Modeling)という解析方法を勉強して,かなり生成モデルを仮定していることを知ったのだけど,知りたい事(領野間ネットワーク)の下層にある生成モデルのパラメータ推定によって,知りたい事(領野間ネットワーク)のモデルはなんとでもなってしまいそうな胡散臭さはある.生成モデルを考えればいいかと「想え」ば,それだけだと妄想なんですよね.

知りたい事の下層にある現象の適度な抽象化,というのが今のところの1つの答えですが,階層性のある現象(脳)の理解のためには,いろいろと工夫が必要です.

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