2009年11月18日水曜日
必要とされない職業,事業仕分け
最近,ネットであまりに同情されないポスドクへコメントを見て(ポスドクの方が研究職を選択したがゆえの窮状を掲示板に書き込んで,それに対して「自己責任」という主旨のコメント多かった),これが小児科医だったり産婦人科医だったらもう少し同情されるんじゃないかと思ったり...自己責任と言っている方々は,現在ポスドクの人達が自己責任で研究職を「選択しなかった」としても,誰も困らないよ,と言っているのですよね.
改めて,必要とされない職業についている身なのだとわかって,なかなかがっかり.
とはいえ,研究社会と他の社会との距離感としては,こんなもんかなとも思っています.科学者は,政治的な(社会的な)活動について嫌悪感強いですし,教育についてだって自分の研究時間の対価として払われる負担としか考えていない方もよく見ます(研究したい研究者にとって,感覚的にはそうなってしまうのはしょうがないのですが,長期的に科学コミュニティーを持続させるため必要であることは一呼吸考えれば分かることなので,それを露骨に表現されると僕はイヤな気分.).
今日,かなり久しぶりにGoogleニュースを見てみたら,ニュースのカテゴリに「テクノロジー」があって,以前は,たしか「科学・技術」だったのに...たしかに「科学・技術」の時も,検索されるニュースはPCのパーツの話題だったり,ほとんど技術的なニュースだったので,実情にあわせたんだろうと思います.
でも,「科学」のカテゴリはなくなっちゃったので,地味にがっかり.
##
事業仕分け.科学関連は第3会場の11月13日
事業仕分け録音のテキスト化
こちらも,事業仕分けの対象(疑わしき事業)の時点で,すでに科学関連の予算がほとんど入っていたので,なかなかがっかり.
若手研究者の競争的資金が生活保護と同列に議論されているのにもがっかり...時間のない議論なので,表現が直接的でもよいのですが,国家百年の計を表現するには下品な言葉が多いのは残念.回答する方の言い回しは,回りくどくて,質問に対して,もっと簡潔に回答しろよと思う.
ただ,事業仕分けを公開にして行うという点は,とても民主的だとは思っているので,事業仕分けという方法論にはとても好感を持っています.
ところで,
すべての事業は当事者にとっては必要です.ただ現状では,限られた資源(今回は特に経済的資源)で行うために,優先順位をつけなければいけなかったわけです.どうやってその優先順位をつけるのだろうと,興味がありました.僕は全体が把握できないので,もちろん科学の優先順位がどこにあるかも分からなかったのです.異なる事業をどう比べるのか,例えば児童教育と科学の優先順位をどのように評価するのか,に興味がありました.
ふたを開けてみれば,
単にある事業について担当官僚(関係者)と仕分け人がディベートをしてその優劣が事業評価であるという方法だった.科学の重要性をディベートして,勝てば良かったわけなので,これはもうちょっとがんばってほしかったな.これまでだって,科学成果のプレスリリースに対して「何の役に立つのですか?」と素朴な質問は科学素人記者からたくさんあったはず.科学の経済的な波及効果だって適当に試算できたんじゃないかな.
某大学では,ある失敗をして,予算が削られることになって,ようやく危機感を抱いて,その危機感で新しい研究科を作っちゃった例もあるんですよね.多くの大学がその必要性は認めているものの,その研究科は(国公立では!?)その大学にしかありません.危機感を良い方向に向かわせることができればいいですよね.
事業仕分けに関していろいろと記事↓
事業仕分けWS3 まとめウィキ(←まとまっている!)
事業仕分けとProblem of Extension
Japanese science faces deep cuts
ちょっと皮肉.日本でもエコって言ってもダメだったのかな.
世界最速スパコン:景気刺激策で新研究を支援する米政府 | WIRED VISION
とはいえ,行政刷新会議の事業仕分けは法律的な拘束力はないはずなので,科学者の政治力を発揮しましょうか.若手の研究者が意思を表明できる場もあるようです.
科学研究費補助金の一部の執行停止に対する反対署名
行政刷新会議事業仕分け対象事業についてご意見をお寄せください
学会のHPでは,事業仕分けに対する意見の表明などは出ないのですかね.日本の大きな学会をみても出しているところがなさそう.腰が重いな.
教授さん方,がんばってください.政策を動かすのは若手の仕事じゃないよ.素敵な言葉で科学の重要性を説いてくださいな.
PS.
国に依存しすぎる科学もどうかなと思うので,同時に民間のお金で研究運営するロールモデルを模索してほしいです.
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿