2010年9月19日日曜日

いまさら機能を物質に還元して説明する方法は流行らないでくれと願う.


今週のサイエンスに掲載されている論文とか(いや,もう先週ということになるけど).

最近,脳領野の厚みだの大きさだの脳の構造と特定の機能が相関している事を調べる研究が多い.頼むから,そんな研究が多勢にならんでくれと願うばかり.

機能は物質(ハードウェア)に依存するから,もちろん機能を調べるとっかかりとしては重要.でも,とっかかりとしての役割だけで十分じゃない!? fMRIでは領野での機能局在を調べる研究がだいぶ収束しつつあるように思えるし,「近代骨相学」と呼ぶ人までいるご時世に,またそこに戻りますか...という感じorz

機能局在をやるにしても,構造を根拠に説明するんじゃなくて,もうちっとがんばって,せめて脳活動を機能局在の根拠にしようよ,とか思うわけです.DCM(Dynamic Causal Modeling)やGranger causalityとかネットワークを解析する方法も整備されつつあるし,そっちでもうちょいがんばろうよ,とか思ってしまうわけです.

Diffusion Tensor Imagingの形態学的な情報を元に,領野間のネットワークを解析するとか,形態学は機能を知るためにいろいろと有用だと思うんですけど,機能を知るのに領野の厚みだの大きさを調べる意義って何かわからない(臨床とかでは簡単で適当な指標になるんでしょうけどね,基礎研究の人がそれやって意味あるのか!?).

機能までの因果関係が遠すぎると,なんというか,「風が吹けば桶屋が儲かる」的相関にならないかなぁ.

こういった構造の解析,Voxel based morphometry (VBM)と言われて,お手軽にできるようになりましたし,流行りそうな気がするのが,なんともイヤ.やれることなくなった人たちがこちらに流れていきそうな気がしてならないのが,イヤ.批判するなら論文読まなくちゃとか思って,まじめに読んで結局がっかりするのもイヤ.

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