2010年9月12日日曜日
臨床,意志決定,わからない
先週末は,神経心理学会が行われて,会場の手伝いをやらされたこともあって,まじめに講演を聴いていた.発表者のほとんどは医者やリハビリ関係の人.自分がこの分野の当事者でないと思えば,いろんな症例が紹介されていて,単純におもしろかった.
診断方法の話しも興味深かった.労災や保険のために診断する時には,病状に応じて等級判定をするのだけど,精神疾患だとなかなか証拠を集めづらいと.行動的には問題あるけど,脳には損傷がなかったり.病気だと偽る人もいるし,故意でなくても,(補償金とかを)もらえるものはもらいたいという心理が無意識に働いて,症状として出る事もあるらしい.そんな中で,どのように診断するか.
限られた時間と情報の中で意志決定する方法がおもしろかった.こういう臨床での意志決定に比較したら,基礎科学なんて意志決定しないと言っていいですからね.確定的な証拠が見つかるまで,「わからない」という態度でいられる.
臨床だと「わからない」ではすまないですよね.それは,手続きを進めなければいけないというのもあるし,多くの人にとっては「わからない」という状態は,とても不安で早く脱したい状態なんだと思います.
僕にとって,「わからない」というのは上に凸の関数のてっぺん(不安定な平衡点)でバランスとっている感じ.不安定とはいえ平衡点なんで,バランスの取り方さえ覚えれば,そんなに居心地もわるくないという感じ.多くの人がテキトーな理由をみつけて安定な平衡点に行きたがるところを,証拠がでてくるまで予断なくバランスできるのも科学者の資質かなと思ったり.
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