2008年11月27日木曜日

Scientific Network

Scientific Network | ResearchGATE
cf.次世代研究者ネットワーク"ResearchGATE"

2,3週間前,夜中に帰って,ふとTVをつけたらNHKで「デジタルネイティブ」って番組がやってて,その中で,インドだかの小学生がソーシャルサイトをつかってボードゲームを商品化したってエピソードがあった.ソーシャルサイトを使って世界中のクリエイターに依頼して作成.ビジネスのソーシャルサイトらしいけど,特に年齢とかの記載があるわけじゃないらしく,ある1人のクリエイターは,「自分のボスが小学生だとはおもわなかったよ」とか.でも「給料を払ってくれるなら,それも気にしない」とも.

そんな風に研究が始まることもあんのかな.

ちなみに,この番組で知り合いもチラッと映ってて,おっと思ったりも.
 

スゲー顔

 


人間てこんな表情できるんだ.

筋肉を刺激しているんだろうから,こんな風にうまく!?筋肉を動かせれば,新たな表情作れたりするんだ..その表情から何が伝わるか知らんが.でもとりあえずおもしろい.
 

2008年11月25日火曜日

【論文】実験課題の繰り返しによる神経活動の抑制は知覚の予測を反映している.Summerfield2008

Neural repetition suppression reflects fulfilled perceptual expectations.
Summerfield C, Trittschuh EH, Monti JM, Mesulam MM, Egner T.
Nat Neurosci. 2008 Sep;11(9):1004-6.


概要
fMRI研究において,繰返し抑制(repetition suppression)という同じ刺激を繰り返すと神経活動が抑制されるという現象がよく知られているのですが,そのメカニズムを明らかにしようという論文.これまでにいくつかの仮説が示されており,経験した特徴が強調した表現に変化するという強調化(Sharpening)の効果だとか,疲労による神経活動の鈍化だとか言われてきました.この論文の著者らは神経活動の抑制は予測符号化仮説(Predictive coding theory)における予測誤差(Prediction error)が小さくなっていることを示すのではないかと言っています.結論としては,神経活動の抑制のすべてを予測誤差の減少で説明できるわけではないが,予測誤差の減少が繰返し抑制の原因であることを示している.

Figure 1
基本的には,この論文の結果はここの3つの図に表現されている.Figure2はFigure1の補足的実験.
a fMRIの実験タスク
実験課題はRep試行,Alt試行,Target試行の3種の試行からなっていて,それがランダムな順に出てくる.すべての試行は,最初の顔が250 ms間表示され,その後500 ms間の空白画像が表示され,最後に2つ目の顔が250 ms間表示される.試行間には2−4sの時間がある(rapid event-relatedでfMRI計測していると言うことですね.).Rep試行は最初と2つ目の顔が全く同一,Alt試行は異なる顔,Target試行は2つ目の顔が逆さ顔になっている.被験者は2つ目の顔が逆さ顔だったらボタンを押します.つまり,Target試行の時にボタン押しがされるのですが,この試行での脳活動は解析に必要なく,被験者がきちんと実験課題をしていることを確認するための試行.

そして,実験課題は2種類のブロックからなる.Rep試行が75%(Target試行を除いた試行数の)の確率で出てくるRepブロックと25%のAltブロックの2種類.

つまり,2種類の試行とその試行の出現確率が異なる2種類のブロックで実験課題は構成されています.

実験パラダイムの論理としては,
Repブロックでは,
→ 2つ目の顔が最初の顔と同じである確率が高い.
→ 被験者は2つ目の顔を最初に出た顔だと予測するようになる.
→ 同じ顔が出るRep試行では予測誤差が減少する.
→ もし,繰返し抑制が予測誤差を反映するとすれば,
   相関してニューロン活動の低下が観測できる.
という事.

b
側頭葉の領野の1つであるFFA(Fusiform Face Area,紡錘状顔領域)を別のタスクで同定していて,つまり顔に選択的に活動するfROI(functional Region of Interest,機能的関心領域)で解析する脳活動を特定している.4つある脳活動の図の内,左の2つは16人のFFAsを重ねて描いた図で,右2つはグループ解析をして被験者共通に活動していたFFAsを描いた図.

c
bで特定したFFAsの脳活動を比較しており,左の2つの棒グラフはRepブロックの結果を示していて,右2つはAltブロックの結果を示している.白の棒グラフがRep試行,灰色がAlt試行.

見るべき結果は次の2つ.
結果1.RepブロックではRep試行がAlt試行よりも22%だけ脳活動が減少している.
結果2.両ブロックでのRep試行を直接比較すると,「RepブロックでのRep試行」が「AltブロックでのRep試行」よりも小さくなっている.
(結果2の補足1.)AltブロックにおいてはRep試行の減少は9%だけである.
(結果2の補足2.)試行とブロックの2x2の分散分析の結果,試行間には主効果があって,比較するとRep試行がAlt試行よりも有意に小さく,ブロックに関しては主効果はない(ちなみに,解析の順序としては,もちろん分散分析を先にやって試行間の主効果のあることが認められた後,試行間での比較を行っている.論文の本文でも結果2は結果の2の補足1.2の後に書かれている.)

つまり,被験者の予測通りであり予測誤差が小さくなるRepブロックでは,実際に同じ顔が繰り返されるRep試行(繰り返される試行)で脳活動の低下がある(結果1より).しかも,同じRep試行でもAltブロックの場合よりも小さいので,単にRep試行であるから脳活動が下がっているというのでは無い(結果2より).

このことから,繰り返し抑制は予測誤差の減少を反映しているのだろうという結論になる.

AltブロックにおいてもRep試行で減少が見られるのは,基本的にヒトは最初の顔が2つ目にもでると予測するからでしょう.ちなみに,この実験では2つの試行で同じ顔は使われないので,予測するとすれば最初の顔を予測するしかない.

RepブロックでのAlt試行は,顔が繰返されるRep試行が多い中で異なる顔が出てくるわけで,予測誤差が大きくなって,「Alt試行 In Repブロック>Alt試行 In Altブロック」となるかと思ったりしたけど...そうはならないな.Alt試行はどちらのブロックでも出てくる2つ目の顔と被験者の予測は異なるわけで,異なり具合(予測誤差)は同程度なのでしょう.もし,「Alt試行 In Repブロック>Alt試行 In Altブロック」だとしたら,予測誤差ではなく,予測と異なるかどうかの2値が表現されているとも考えられたりしないだろうか?まぁ,それだと,両ブロック間でのRep試行は同じ値になるから,この論文の結果は説明できないのだろうけど.

Figure 2
a
Figure1が顔認識における予測誤差であることを示すために,試行における最初と2つ目の顔の大きさを変化させて行っている.Rep試行とAlt試行では,2つの異なる大きさの顔が用意されていて,小さい顔は大きな顔を15%減少させた顔.大きい顔が最初に出ることもあるし,小さい顔が最初に出ることもある.Target試行はサイズ変化が60%になっていて,急激に拡大するか,縮小したら被験者はボタンを押す.

b.c.
見方はFigure1と同じ.ただ,cで「Alt試行 In Repブロック>Alt試行 In Altブロック」となっている.この結果はどう解釈するんだろ?予測誤差は平均化されて両ブロックで変わらないという事にしているのだろうけど,最初と2つ目の顔の誤差(予測誤差)は定義できないから厳密には統制が取れていないわけで,その影響があるのかな.
 

【論文】マカクザルのVIP野:視覚と体勢体性感覚の一致した性質 Duhamel1998

Ventral Intraparietal Area of the Macaque: Congruent Visual and Somatic Response Properties
Jean-René Duhamel, Carol L. Colby, and Michael E. Goldberg.
The Journal of Neurophysiology Vol. 79 No. 1 January 1998, pp. 126-136.

概要.

脳領野で視覚野と体勢体性感覚野の境にあるVentral IntraParietal Area(VIP)で両感覚野から投射があることが知られています.VIPでの受容野が視覚と体勢体性感覚で共通しているという話.何が共通しているかというと受容野の位置選択性,大きさ,運動方向選択性,などなど.受容野の位置や大きさなど定義を厳密にしているわけではないですが,定性的には上記で述べた現象がみられるということはわかります.

感想
10年前の論文でVIP研究が始まった頃の,原始的!?な方法でおこなわれている研究.でも,VIPを研究する上では押さえておかなければいけない研究.データはひたすらヒストグラムつまり数を数えているだけだったり,結構生データな感じ.FIG.4とかは,割合で表示したり相関を示したらと思ったり思わなかったり..それにしてもサルにしたら,いろんな物でやたらとさわられるのは気味悪かったろうな.^^;

FIG.1.
ディスプレイで灰色で表示されているところが視覚的な受容野で,サルの顔や体で灰色に表示されているのが体勢体性感覚における受容野.体勢体性感覚の方は,エアパフや筆記用具でつついたり,綿棒でさわったりしている.同じニューロンで図にあるように,視覚と体勢感覚の両方に反応している.

視覚的な中心が鼻頭に対応している.FIG.2.3.で解析しているけれど,両感覚野とも中心から離れていくと,視覚と体勢体性感覚の両方で受容野の大きさが大きくなっているのがわかる.

FIG.2.
横軸!?は鼻頭からの距離,縦軸!?が体勢体性感覚の受容野の面積で,それぞれについてニューロンの数を表示している.FIG.1でも書いたけど,鼻頭からはなれると受容野の面積が大きくなっている.

FIG.3.
横軸!?は視覚受容野の中心からの距離,縦軸!?が体勢体性感覚の受容野の面積.これも相関がありそうなのがわかる.

FIG.4.A.
両感覚におけるニューロンの同側・反対側の関係を示したグラフ.視覚で反対側ならば体勢体性感覚でも反対側という関係が見られる.同側はもともと取れているニューロンも少ないので,こんな感じ.割合で表示しても良かったんじゃないかな.

FIG.4.B.
視覚座標の上下と体勢体性感覚での鼻を境にした上下のニューロン数の関係を示したグラフ.これも相関ありな感じ.

以下,こんな感じで図を見ればわかるので,あとの説明は簡単にで.

FIG.5.
運動選択性も同じ.

FIG.6.
運動選択性が同じ.
ただし,視覚受容野がディスプレイの外にある場合.

FIG.7.
同じく様々な場所での運動選択性.
一番下の2つの図は腕を動かしたときで,その時に活動するニューロンもあった.

FIG.8.
物が近づいてくるとき離れるとき視覚と頭部の前後体勢体性感覚.

FIG.9.
体勢体性感覚で綿棒を頭部につけたとき離したときに反応するニューロンが,視覚刺激の点滅に反応する.

FIG.10.
回転方向選択性について.これはちょっとにわかに信じがたいけど.こんな単純な視覚と体勢体性感覚の座標対応なのか??

 

2008年11月24日月曜日

今日は.

今日は,祝日の振替え日で休日.昨日の日曜日が何かの祝日※だったはず.

今日は,休日だったけど学生が来てくれたので,Labview(←PCI/USBで接続するのハードウェアを,例えば計測機を,制御するソフトウェア)の動かし方をチェックしてもらう.既成のプログラムをいくつか使って,やろうとしている一連の事がだいたいできたので,それらを書き換えてプログラムを作れば,うまくいきそうな予感です.

今日は,うちの大学では学祭の最終日でもあったみたい.ちょろっと見てみようかと思ったけど,雨も降ってたし,めんどくさくてパス.それにしても,今日の京都は雨がよく降ってました.

PS.※
勤労感謝の日でした.
 

2008年11月23日日曜日

Gmailがまた良くなった

アメリカから帰ってきて成田空港で飛行機の乗り継ぎ時間にメールをチェックしようとしていたら,Gmailのデザインが微妙にきれいになっている??テーマを選んでデザインを変えられるようになったらしく,標準のデザインも少しかわっていた.見た目って重要.GoogleのいろいろなサービスのWebデザインは基本的にきれい.

僕が使っているメールアドレスはすべてGmailで一括管理していて,携帯からのメールも転送しているんで,アメリカにいる間も友達から携帯に来ていたメールをGmailごしにチェックできた.別にいそいでチェックする必要もないのだけど,帰国して携帯の電源を入れたときに大量に入ってくるメールには辟易.メールはある程度のリアルタイムで処理していないと,あとからだと見る気にもならなくなります...Gmailさまさまです.

PS.
メールが消えてしまうことも報告されているみたいで,バックアップを取っておいた方が良さそうです.

cf.
Gmail の画面デザインを選べるようになりました
GmailをローカルPCにバックアップできる『Gmail Backup』を試してみた
 

2008年11月21日金曜日

初めてのアメリカで.

昨日アメリカから帰国.

アメリカは日本にたくさんの情報が入ってくる国だと思うのですが,僕は今回初めて行きました.そこで僕がすれ違った人たちは,丁寧ではないけれど,愛嬌がある人たちでした.政治や経済で少し自信をなくしている国だと思うのですが,鬱積した感じよりは日々の仕事を楽しんでいる感じ.

寒空の中,毛布にくるまってベンチで寝ているホームレスの方をかなりの頻度で見るし,TVでも社会問題として取り上げていましたけど,それ以上に駅のスタッフの兄ちゃんが冗談を言ってゲラゲラ笑いながら対応している様子は楽しそうでした.客も楽しんでそれにノッてたし.知らない人同士でも楽しく会話が成立する感じは好きです.個々の人間関係については,日本は閉鎖的で仲良しこよしで屯(たむろ)していることが多いですね.


まぁ,たかだか4,5日の滞在だし,ニューヨークとか西海岸の都市とかはまた感じが違うのだろうけど.

でもとりあえず,僕のアメリカ第一印象.
 

2008年11月18日火曜日

住んでいる人たち


ホテルはペンタゴンの近くだという事もあって,ホテルの周りを歩いていたり,地下鉄に乗っていると軍服の方に出会います.軍で働いている人たちが多い地域だから,その人たちに会う.いたって自然に思えるのですが,ふと日本を思い返すと...東京の府中や北海道の札幌に住んでいたので,自衛隊とも縁のある地域だったはずだけど,電車に軍服姿の人が乗ってきた記憶がない.

自衛隊には様々な意見があるのでしょうが,少なくとも軍服を着て活動している方々は存在するのだから,町中でも見かけるのが自然かな.不自然さをもたらすのは何なのでしょう.
 

2008年11月17日月曜日

ワシントン郊外と会議での光景

ホテルはワシントン郊外で,街路樹がきれいに紅葉しています.町並みはすごく清潔という感じではないけれど,きれいに感じます.TVでよく見るような光景で,たぶん北米の典型的な町並みなのじゃないかな.

##

この会議には初めて参加するのだけど,小さい子をつれたお母さん研究者を結構目にする(子供連れの男の人は全く見ないけど).そういう光景は悪くないんじゃないでしょうか.
 

精度


ワシントンでは地下鉄で移動しているのですけど,途中にあるエスカレータは結構な頻度で止まっている.最初は,ある箇所で4つあるうちの一つが止まっていたりしたから,省エネなのかなと思っていたけど(省エネを促すポスターも近くにはってあったりしたから),エスカレータしかないところでも止まっている.友達と話していても,省エネではないらしい様子.地下鉄に乗るときの切符も,一度磁力が弱いのか,うまく改札を通らなかった.

それに比べると,改めて日本は精度よく物事が進んでいる国だなと思う.
 

2008年11月16日日曜日

この会議,3万人が来ているとか.


単独で行動しているのだけど,今回は3万人もの人が集まるような神経科学の一番大きな会議なので,日本からも多くの人が来ていて,空港でも会場でも知り合いにしょっちゅう出くわす.

飛行機は成田からワシントンの空港まで直通の便だったのだけど,その飛行機に多分50人以上の神経科学研究者が乗っていて,10人くらいはPIだったはず.ある分野の研究者が飛行機にこれだけまとまって乗るのはリスクがあるなぁと不謹慎にも思ってしまいました..
 

2008年11月15日土曜日

一人でプラプラとアメリカに来ています.


SfN(Society for Neuroscience,北米神経科学大会)という会議に参加するため,アメリカのワシントンに来ています.

ところで,僕は会議に出るときは,基本的に単独行動が多いです.研究室の人とホテルや会場に行くまでの移動をあわせたりする事は少ないです.知り合いと一緒に行動しちゃうと,知り合いとばかり話す事になってしまって,積極的に新しく誰かと知り合おうって思わなくなっちゃうんですよね.それに,一人で入れば,向こうから話しかけてくれる事も多いですし.

それと,海外のときは会場のすぐ近くにホテルをとらずに,電車で数駅のところにホテルをとる事が多い.それのほうが住んでいる人の生活感に触れられるから.海外に出て,空いている時間も観光するってことは少なくて,カフェに入って行き交う人を見ている方が好きです.今回も会場から地下鉄で4,5駅のワシントン郊外のホテルに泊まっています.
 

2008年11月10日月曜日

イチョウの葉も落ちる頃です.

autumn
Photo by shotam

先週の金曜日に1日実習があり,土曜日はナノメディシン融合教育ユニットの修了生・履修生を対象とした医工学連携などに関するミーティング&セミナー,日曜日はまたまた1日実習.

...と実習の準備なども含めて,先週はヘビーな一週間でした.研究作業と違い,人と接するので,いつもとは違う注意を払わなければいけなくて,けっこうヘトヘトに.

今日は一段落して,今後の予定などを考えていました.いまさらですが,もう11月ですね.京都も寒い日が続くようになって,昨日からマフラーをしています.今週の金曜にはアメリカの会議に参加するために出発です.