2008年9月11日木曜日

演算操作的定義!!

 
解析で計算機(コンピュータ)を走らせている間に少し,書きます.fMRIの解析をしているのですが,データ量が多いから時間がかかる.結果を見たら,さっきのは失敗していたし...もう一度です...

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研究において,何を以て「理解」した気になれるかは,それぞれの研究者でちがいます.脳の構造を理解したい人,システムの動的なふるまいを理解したい人,細胞レベルの機序を理解したい人,認知レベルの機序を理解したい人と様々です.

さっき,僕が研究に理解したい水準の1つがハッキリしました!漠然としていたのですが,ついさっき輪郭の見える言葉を見つけたような気がします.結論から言うと,僕は,演算操作的定義(造語です)がはっきりすると理解した気になれるという事です.

僕が神経科学研究において,興味があることの1つに脳の情報処理があります.論文などを読んでいて,「~に関与する細胞」や「~に寄与する」という説明ではうやむやした霧の晴れない思いです.一方で,論文に数理的なモデルが書かれていると,霧が晴れる事が多いのです.

例えば,最近の神経科学では「注意(attention)」の研究が大流行です.ヒトやサルに,行動課題を課して,その時の神経活動を計測します.電気生理的な方法であったり,fMRI,MEGの方法で計測します.計測されているのであれば,それは操作的定義がされていることになります.つまり,注意の研究の場合,方法(行動課題とその解析)が注意の定義なわけです.ですが,方法の抽象性が自然言語だけで書かれている事もあり,僕にはスッキリしない.

一方で数理的に注意が以下のように説明できるとします.そうすると,僕は理解した気になる.yが認知,xが知覚だとして,その関係が y = f(x)と書けるとします.xをfという演算処理をし,yという認知が得られるという事です.ここで,ある実験によってy = a*f(x)という関係が得られ(*はかけ算),この「a」が注意ですと説明されれば,相手の言っている事がきちんと理解できた気になれるのです.

このような脳の演算処理の操作における定義(演算操作的定義)が僕にとって,もっとも理解したい事なんです.演算操作的定義というのを思いついて,そうか,僕が理解したい事はこれなのか思いました.

PS.
ついでに言うと,最終的な理解したいことは,だいぶ前からハッキリしていて,脳の計算論です.なぜ脳がそのような計算をしているか,その理由です.計算論の1つは,脳が計算している事の「最適性」は何か.僕にとって,それをわかる事が最終的な「理解」です.

PS.PS.
ところで,数理的な記述は,相手に正確に伝えられるという点でも好きです.厳密に定義するということではだけではなく,著者が想定している曖昧さも含めて記述できていると思うからです.論文でy = f(x)と書かれていたら,y = ax + bかもしれないし,y = x^2かもしれない.だけど,ひとまずy = f(x)という理解があれば,次が読めるという事を著者は言っています.逆にy = ax + bと書けば,それは明示的にa,bという係数をもつ線形な関係だという事を伝えています.自然言語でも書けるのですが,自然言語だと書く時にそれを意識しなくても書けるので,著者の意図が抜けてしまう事が起きやすい気がします.

cf.
操作的定義 operational_definition
内包的定義 connotative_definition
外延的定義 denotative_definition
 

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